「はあ?うっせーなぁ病弱ジジイ。いいんだよ?ボクは強がってるだけの弱虫ですって言っても」
 沙由里さん、昨日竹森くんが心臓を抑えてたことを言ってるんだ。
「竹森くん!あの、ちょっと外に出よう!」
「え?」
 わたしは、言い返そうと口を開いた竹森くんを引っ張り外へ出る。
「ちょ、星羅?」
「なぁに人前で抱き締めてんのっ!こんの馬鹿っ!」
 わたしは竹森くんの頭に拳を落とす。
「ううっ……!星羅ぁ……!ひどいぃ……!僕は星羅を守ろうとしただけなのにぃっ!星羅、アイツらに上履き取られてるし!言い返したいぃ……!」
 潤んだ瞳をこちらに向けて、涙声で話す竹森くん。
「呆れたー」
 わたしは肩をすくめ、ある覚悟を決めた。
「竹森くん」
「ん?」
「もう、わたしに関わらないで」
「——は?え、ごめん、なんて?」
 竹森くんの笑顔が固まる。その笑顔が、微かに強張った。
「だから、もうわたしに関わらないでって言ったの」
 竹森くんは、一瞬ポカンとしたけれど、すぐに真っ青になった。