驚いてクラスの皆んなが入口に目を向ける。
「星羅っ!」
「っ、竹森くん⁉︎」
 音の主は竹森くんだった。
 竹森くんはツカツカわたしに近づくと、
 ——わたしを抱き締めた。
「ちっ、ちょっと⁉︎何してるの⁉︎」
「えぇ?竹森クン、まだ男垂らしさんに洗脳されてんのぉ?」
 茶髪ギャル——沙由里さんが竹森くんに近づいて、耳許で囁いた。勿論、わたしに聞こえるように。
「洗脳?あっははは!」
「なんだよ?」
 沙由里さんが少し動揺した声を出した。
 竹森くんがわたしを離す。
「そんなわけねぇだろぶりっ子ババア」
 竹森くんが、昨日のような唸り声を出した。その声は、静まり返った教室に響くには十分な声量だった。