ぎゅうっと手を握られ、
「星羅、手、震えてる。大丈夫?安心して。明日も、僕が星羅を守るから」
 温かい笑顔で微笑んだ。
 その言葉で、わたしの手がガタガタ震えていることに気付く。
 ああ、わたしはなんて弱いんだ。
 なんて感傷に浸っている時間はない。
「竹森くん!安静にして!わたしなんかはどうでもいいから!」
 今にもわたしを抱き締めそうに両腕を広げている竹森くんに怒鳴る。
 すぐにシュンと項垂れ、力を抜いたように両腕を下げてくれた。
「兎に角安静に!はい、保健室に行く!」
「はーい。ごめんなさーい」
 彼は投げやりに謝ると、脚を引きずるように歩き始める。……そんなに行きたくないのだろうか。
「はあ、保健室まで送るって」
「ほんと⁉︎やったあ!星羅大好き!」
 わたしが呆れ気味に提案すると、さっきの暗そうな表情も忘れて目を爛々と輝かせ、胡散臭い告白してきた。ついでに物凄い力でわたしを引き寄せ抱き締めてくる。
 急な動作に、心臓が早鐘を打ち始めた。
「離せっ……!コラ、もう帰るよ⁉︎」
「え……。ごめん、謝るから許してぇ……」
 またシュンと項垂れる竹森くん。
 わたしは、そんな彼の襟を引っ張って無理矢理保健室へ連れて行った。

 *

「あの陰キャさあ、昨日男と抱き合ってたんだよぉ?キモくね?」
 わたしが教室に入った途端に身体に突き刺さる言葉の刃。裸の足先から体温が抜けていく。