二年生になった紗里だが、相変わらず一般クラスだ。
クラスメイトは一年生のときより十人ほど数を減らし、いない面々が特別クラスに行ったのだとわかる。例の霊力測定での結果が抜きん出ていたのだろう。
「あの子と同じクラスって最悪。零力と一緒にしないでほしいんだけど」
あやかしとの縁狙いを隠しもしない、派手なグループの女子が、紗里を見下すように一瞥してから嘆く。
『零力のくせに』
『零力がなんで』
霊力測定の日からよく聞くようになった言葉だ。
ちゃんと聞いたわけではないけれど、使われ方からして漢字や意味は嫌でもわかった。
霊力がなかった紗里を馬鹿にして、零力と言っているのだ。
「ほんと。っていうか特別クラス行けなかったの、納得いかない! あたしなら霊力に当てられたりしないし、烏丸くんと仲良くなりたかったのに!」
「だよね。校舎ごと違うから会う機会もないし。あーあ、大神先輩とか狐塚先輩とか、近くで見たかったぁ~」
彼女たちに何か言ったところでエスカレートするだけだろうと思い、紗里は努めてなんでもないふりをして、次の授業の準備を進めた。
結局、二年生初日で紗里にまともに話しかけてきた人数はゼロ。
ひそひそと噂をして、好奇の視線を向けてくる人数は数え切れず。
無関心な人や遠巻きに見ている人もそれなりにいるようだが、彼らは紗里の存在を静かに受け入れているわけではないだろう。
積極的に加害はしないが近づきたくはない、どうでもいい、あるいは……さっさと音を上げて出ていけばいいとでも思っているのか。
紗里には知る由もないことだ。