どうやら、シャクナゲはポセイドン様の目を盗んでは定期的に陸に上がっては、陸で行われていたボクシングを見に行ってたらしい。
まぁ、オーシャンにも似たようなものはあるが、どうやら陸のボクシングが面白いのは確かだ。
そんな、シャクナゲはボクシングで闘ってるカネロを見て惚れた。
人間ながらも、強靭な肉体に、どんなに窮地に追いやられても誰にも屈しなく拳。
そして、シャクナゲは思った。カネロと拳同士で闘いたいと…。
シャクナゲは飛び入り参加で、カネロのイベント試合に参加した。

『なぁ、お前ウチと拳で闘ってくれよ!』
『…女だと…俺は女には…』

シュッン!

『!?』
『女だからなんだ??ウチを甘くみると痛い目みるよ』

シャクナゲとカネロは拳をぶつけた。
もちろん、シャクナゲは本気は出さなかった。
出したら普通の人間だと殺しかねない。
だが、本気を出てないシャクナゲの拳でも、それなりの強さはあった。
もちろん、カネロにもそれは効いており、力の差でカネロが負けかけたときだった。
カネロは最後まで諦めず、身体全身を使い全力で拳を入れた。

ドッ!!

『んぐっ!?』
『はぁ…はぁ…あ!?しまった!!つい集中して…!君大丈夫か!!』

シャクナゲはリング上で倒れ、気を失ってしまったため、直ぐに担架で運ばれた。
そして、カネロはシャクナゲが目を覚めるまでそばにいた。

『たのむ…俺のばかぁ…こんなぁ…』
『アンタ、何落ち込んでるんだ?』
『!?!?』
『へへ…やっぱりアンタの拳…人間でもアンタくらいになったら、ここまで食らうとは思わなかった』
『え、ええ!?無事!?てか、傷!あれ?ない?なんで!』
『こんな傷なら大丈夫だ直ぐに自分でも治せる…』
『いやいや、治せるからって…。今タオル持ってくるから!顔に血ついてる!ほら…拭いて。…済まなかった…』
『なんでアンタが謝るんだ?アンタはウチの申し込みに勝ったんだ喜べよ』
『いや、喜べない…俺は女の子の君の顔に拳を入れてしまった。最低な男だ』
『…アンタ、ウチをメスとしてみてるのか?』
『め、メス!?いや、メスと言うか…女の子としてだよ!いや、一緒か!!なぜをそれを』
『いや、今まで闘ってきたからメスとして見られるのは初めてで…』
『そんな、き、君はどこをどう見ても可愛いらしい女の子だよ!むしろ、なんで格闘をやってるんだって思うくらいだよ!』
『か、かかか可愛いらしい!?!?////』

シャクナゲは今まで戦士として生きてきたから、異性であるカネロに、まさか初めてメス扱いされるとは思ってなく、カネロのシャクナゲを心配する言葉がシャクナゲの心を虜にした。
そして、カネロもシャクナゲの可愛いらしく逞しい姿に惚れた。
それから、正式にオーシャンバトルに参加する為にシャクナゲがカネロに番を申し込むと、カネロはプロボクサーを捨て、シャクナゲとともに歩む道を選んだ。

「ほへー…」
「よくそこまで知ってるな」
「まぁなー。だってシャクナゲ本人が話してたからな」
「そうか…それにしてもアオ」
「なに?」
「お前が見たいものは見れたか?」
「うん…凄い…アレがキャビテーションとソノルミネセッス」

キャビテーションとソノルミネッセンスとは、シャコがパンチする瞬間に起きる現象で、ソノルミネッセンスは発光現象の中で、液体中に含まれる気泡と超音波によって引き起こされる発光の事。
この発光は物凄いエネルギーをもつシャコだからこそできる発光。
そして、パンチした時にパンチの威力で真空の泡キャビテーションが発生する。

「凄い…本来の姿でもソレをみるのは一瞬なのに…それが何度も何度もみれるなんて」

アオは学者の目でシャクナゲの戦闘をみる。
シャクナゲも負けじとホウズキにたたみかける。
何度も何度も何度も。
一撃一撃が重たいのか、暴食のホウズキは徐々に押されていきついには。

『なんとぉ!!ホウズキノックダウン!!シャクナゲがウィナァァァァァ!!』

「シャクナゲ勝った!!勝ったよセラ!」
「あぁ、そうだな」

周りはシャクナゲの勝利に嬉しさで歓声を上げてるが、俺は少しだけ変な感じがした。
おかしい…確かにシャクナゲは強いホウズキも倒せる力はある。
だが、問題はホウズキだ…。
アイツは暴食と言われるほど、弱肉強食が好きな奴で、相手が強ければ強いほど得意の技を出すヤツなのに…それを一切使わなかった。

「……」
「セラ?どうした?」
「いや、なんでもない」

俺の勘が、今の師匠を抜いた深海7天が何かしら企んでると訴えてる。
しかし、それが分からない為おれは歯がゆくて変な気分になった。