「信じるのは己の拳のみ!!誰がこいつの拳を止められるだろうか!!否!!神の力を持ってもコイツの拳は止めることはできない!!振りかざした拳には一族の誇り名誉を背負い、唯一無二な拳闘士!!シャクナゲクラフト!!」

『シャクナゲ!シャクナゲ!シャクナゲ!』

「己の食欲を満たすのならば、例え魔海獣でさえも一呑みする、深海一の暴食戦士!!ホウズキ!!」


『ホウズキ!ホウズキ!ホウズキ!』


シャクナゲとホウズキを呼ぶ観客の声援が凄まじく、俺とアオが居る医務室まで聞こえてきた。
次は拳闘士シャクナゲと暴食のホウズキの闘い…。
ただでさえ、この2人の威力は凄まじいのにこの2人を闘わせるとは、恐ろしいものだな。

「それにしても、相変わらずの声援だな…」

俺は闘いの後、アオと一緒に医療班に医務室に連れていかれ手当てをされた。
俺は闘い慣れてるから傷という傷はなかったが…。
アオは魔力を使い過ぎたせいと、戦闘の肋骨が折れてる痛みから気を失ってしまった。

それもその筈だ、合体は本来番、つまり人間側の身体をベースになる。
ベースになるからこそ、戦闘のダメージは人間に全て行く。
そのダメージを軽減する為に、戦士が一緒に戦う。
しかし、やはり人間は俺達に比べたら弱くて脆い。
だからこそ、闘いにおいてはダメージを出来るだけ受けさせないといけない。

「アオ…」
「ん…」
「アオ?」
「……セラ?……父さんは?…たしか…」
「師匠なら今やるべき事をやる為に、1度深海に戻ってる…」
「戻ってくる?」
「あぁ…」
「そっか…よかった」

アオは嬉しそうな笑みを見せ、ゆっくりと起き上がる。

「魔力を使い過ぎてる、体力がまだ回復してないうえに、肋骨が折れてるから動かさない方がいい…」
「…でも、次の闘い見たい…次シャクナゲでしょ??」
「声援が聞こえたのか?そうだが…なんでそこまでして見たい?」
「私の最初の研究というか…子どもの頃の自由研究だったけど、シャコについて研究したんだ。あの時はシャコを捕まえるなんて、子どもには危険な事だったから動画や写真しか見てなくて…もし、生でシャコのパンチを見れるならみたいなって」
「本来の姿ではないけどな」
「いいんだ、好きだから」
「分かった、会場の席まで俺が担ぐから」
「ありがとうセラ」

俺はアオを背中に背負い、医務室を後にした。
アオは会場に着くまでに、先程話した話の続きを俺に話した。

「もちろん、大人になってからもシャコを捕まえて、飼育してたんだけど、何故か私が見ないところでしかパンチをしなくて…」
 
懐かしかったのか楽しい思い出だったのか、アオが嬉しいそうにしてるのが、後ろから聞こえる声を聞いても分かる。

「ほら、話の途中だが着いたぞ」

ドォォォォォン!!

「まさか、メス如きがこの俺と互角に闘えるなんてなぁ!最高だなぁ!」
「お前こそ、図体デカい割には素早い動きが出来るじゃねぇか!」

シャクナゲとホウズキの拳と拳が、激しくぶつかり合い、互いに譲らない状態。
そして、闘技場はシャクナゲとホウズキの闘いで、観客の熱い歓声で盛り上がっていた。
 
「…凄い…アレがシャクナゲ…」

アオは闘技場で闘ってるシャクナゲの姿に惚れたかのように視線を外さなかった。
そんな歓声の中、俺らを呼ぶ者がいた。

「おー!!セラとアオだー!!おーいお前ら!!コッチ来いよー!!」
「エスパーダ…」

エスパーダや他の7天達がまとまって座っており、オレはアオをそこまで、アオを運び一緒に座った。

「どうだエスパーダ?」
「シャクナゲの奴もすげーが、一緒に闘ってるシャクナゲの番も中々だぞ?」
「ほう?シャクナゲの番の名は?」
「たしか…カネロ・アルバートって言ってたな」
「カネロ・アルバート!?」

アオが驚いたように、エスパーダの方をみる。

「なんだよアオ、知ってるのか?」
「知ってるもなにも、カネロは元WBA・WBC・WBO世界スーパーウェルター級王者で、さらに世界4階級制覇した、ボクシングを知らなくてもかなり有名なプロボクサーだ」
「なるほどな、シャクナゲが番にしたがるわけだな」
「いや、それだけじゃないらしいぜ?」

エスパーダは俺達に、シャクナゲとカネロの事を話した。