愕然としながら呟くと、妖王は口元に扇を当てながら「情けないのぉ」と嘲笑した。
「人間の振りをして長く生きすぎたな、御影よ。この天井の狐火が消えない事に、引っかかりを覚えるべきであったぞ」
ぐさりと痛い所を突かれ、俺はその指摘に何も反論が出来ず、唇を噛みしめる。
言われてみれば、確かにそうだ。狐火が消えなかったのは、明らかにおかしな事だ。狐火は妖力に比例する。妖力が及ばなくなったり、弱まったりすると消えるはずの物なのに。狐火は消えていなかった。
そうすると、導き出せる答えは簡単じゃないか。奴は影狐に食われていなかったのだ。食われたのは、恐らく幻。本体が健在しているから、こうして姿も見せる事が出来るし、天井の狐火だって消えなかったのだ。
なぜそんな当たり前の事に、すぐ気がつかなかったのか。
九尾狐が十八番とする幻を見抜けなかった自分に腹が立つばかりか、とても情けなくなる。そして何より、悔しくなってくる。奴に示唆してもらって、ようやく理解した事に。
グッと奥歯を噛みしめ、妖王を怒りの眼差しで貫く。
だが、それが悪かった。更に奴の機嫌を良くしてしまい、より腹立たしい笑みが広がる。
「げにうつけ者じゃし、愚か者よなぁ。妖怪の力を侮り過ぎじゃわ」
呵々としながら言われ、俺はチッと大きく舌打ちした。
「幻影術」
「さて、頃合いかの?」
印を結び、攻撃に移ろうとしていた時に言葉を重ねられ、俺の手がピタッと止まる。
「頃合い?」
「そうじゃ。お前をここに来る様に命じたのも、これが狙いでの。これを見るが良い」
パチンッと妖王が軽く指を鳴らすと、ぶわんと空間が歪み、そこからこの部屋とは違った光景が徐々に映し出される。
俺は怪訝になりながら、その映し出される空間を注視した。
そして段々と見えてきた光景に、俺は戦慄し、絶叫する。
「親方様!奥方様!」
空間に映された光景は、親方様と奥方様が血塗れで伏せていらした所だった。ピクリとも動かず、目が虚空に染まっている。
「貴様、お二方に何をしたっ!」
声を荒げて噛みつくと、部屋いっぱいに高らかな哄笑が響く。
「お前のそう言う顔が見たくてなあ!その顔が見られたと言う事は、わらわの策が見事に進んでおると言う事よのぉ!」
「よくも親方様と奥方様を!芽吹け・・」
俺が呟くと、ぶわっと奴の体のあちこちに黒点が現れ始めた。
「人間の振りをして長く生きすぎたな、御影よ。この天井の狐火が消えない事に、引っかかりを覚えるべきであったぞ」
ぐさりと痛い所を突かれ、俺はその指摘に何も反論が出来ず、唇を噛みしめる。
言われてみれば、確かにそうだ。狐火が消えなかったのは、明らかにおかしな事だ。狐火は妖力に比例する。妖力が及ばなくなったり、弱まったりすると消えるはずの物なのに。狐火は消えていなかった。
そうすると、導き出せる答えは簡単じゃないか。奴は影狐に食われていなかったのだ。食われたのは、恐らく幻。本体が健在しているから、こうして姿も見せる事が出来るし、天井の狐火だって消えなかったのだ。
なぜそんな当たり前の事に、すぐ気がつかなかったのか。
九尾狐が十八番とする幻を見抜けなかった自分に腹が立つばかりか、とても情けなくなる。そして何より、悔しくなってくる。奴に示唆してもらって、ようやく理解した事に。
グッと奥歯を噛みしめ、妖王を怒りの眼差しで貫く。
だが、それが悪かった。更に奴の機嫌を良くしてしまい、より腹立たしい笑みが広がる。
「げにうつけ者じゃし、愚か者よなぁ。妖怪の力を侮り過ぎじゃわ」
呵々としながら言われ、俺はチッと大きく舌打ちした。
「幻影術」
「さて、頃合いかの?」
印を結び、攻撃に移ろうとしていた時に言葉を重ねられ、俺の手がピタッと止まる。
「頃合い?」
「そうじゃ。お前をここに来る様に命じたのも、これが狙いでの。これを見るが良い」
パチンッと妖王が軽く指を鳴らすと、ぶわんと空間が歪み、そこからこの部屋とは違った光景が徐々に映し出される。
俺は怪訝になりながら、その映し出される空間を注視した。
そして段々と見えてきた光景に、俺は戦慄し、絶叫する。
「親方様!奥方様!」
空間に映された光景は、親方様と奥方様が血塗れで伏せていらした所だった。ピクリとも動かず、目が虚空に染まっている。
「貴様、お二方に何をしたっ!」
声を荒げて噛みつくと、部屋いっぱいに高らかな哄笑が響く。
「お前のそう言う顔が見たくてなあ!その顔が見られたと言う事は、わらわの策が見事に進んでおると言う事よのぉ!」
「よくも親方様と奥方様を!芽吹け・・」
俺が呟くと、ぶわっと奴の体のあちこちに黒点が現れ始めた。



