しどろもどろに答えると、京は涼しげな目元を更にスッと細めた。
「わざわざ、裳着が始まると言う時にですか?」
「う、うむ。おかしくはなかろう」
わらわが答えた瞬間に、はあと大きなため息が間髪入れずに入る。
「そんな無理して行くもんじゃありませんよ、豊穣祭って」
ずばりと言い当てられ、ギクッと強張る。それを見て、京はより底冷えした目をした。
「全く。姫なら、もっと姫らしくしてくださいよ」
「それ、さっきも言われたぞ」
「分かるまで何度でも言いますよ」
だから戦姫って言われるんですよと、付け足され、なんだか説教が始まりそうな雰囲気になった。
「分かった、もう分かったから。許せ。流石に屋根に登って抜け出そうとしたのは、悪かったと思うておるから」
「屋根に登って、してやったりと言う様な顔をして、誰にも捕まえられないわっていう勝ち誇った顔をして、哄笑しそうになっていた事も反省してもらわないと。だから戦姫って言われるんですよ」
「それと戦姫は関係なかろう!と言うか、お主、本当に全て見ておったのだな?!」
恥ずかしい事を堂々と暴露され、身悶えながら訴える。
だが、京の耳には身悶えした訴えなんか、まるで届いていない様だった。それどころか、身悶えしたわらわを見て、ニヤッと意地悪い笑みが広がっていく。九尾狐らしい、蠱惑的な笑みだ。
「さ、充分姫を虐めたので。もう満足しました。早く行きますよ」
京はニヤッと笑みを見せてから、スクッと立ち上がった。虐めた自覚があるのか!と突っ込みそうになったが。急に立ち上がられて、笑みを向けられた事に呆気にとられる。
「行く?どこに?」
「どこって、決まってるでしょ。行きますよ、城下町」
「まことか?!!」
単語を聞いた瞬間に、ぱあっと顔が明るくなった。年甲斐も無く、目を分かりやすいほどに煌めかせてしまったのか。京がぷっと小さく吹き出した。その笑みで慌てて冷静を取り繕い、ごほんごほんとわざとらしく咳払いをする。
「うむ。そうじゃな、城におっても退屈なだけだしの。城下町に参ろう」
威厳たっぷりに言ってから、横に置いてあった愛刀をむんずと掴んで立ち上がり、スッと腰に差す。
幸いにも着替えをせずに、そのまま出かけられる姿になっていたので、京を待たせる事なく「行くぞ」と声をかけてから部屋を出た。
「わざわざ、裳着が始まると言う時にですか?」
「う、うむ。おかしくはなかろう」
わらわが答えた瞬間に、はあと大きなため息が間髪入れずに入る。
「そんな無理して行くもんじゃありませんよ、豊穣祭って」
ずばりと言い当てられ、ギクッと強張る。それを見て、京はより底冷えした目をした。
「全く。姫なら、もっと姫らしくしてくださいよ」
「それ、さっきも言われたぞ」
「分かるまで何度でも言いますよ」
だから戦姫って言われるんですよと、付け足され、なんだか説教が始まりそうな雰囲気になった。
「分かった、もう分かったから。許せ。流石に屋根に登って抜け出そうとしたのは、悪かったと思うておるから」
「屋根に登って、してやったりと言う様な顔をして、誰にも捕まえられないわっていう勝ち誇った顔をして、哄笑しそうになっていた事も反省してもらわないと。だから戦姫って言われるんですよ」
「それと戦姫は関係なかろう!と言うか、お主、本当に全て見ておったのだな?!」
恥ずかしい事を堂々と暴露され、身悶えながら訴える。
だが、京の耳には身悶えした訴えなんか、まるで届いていない様だった。それどころか、身悶えしたわらわを見て、ニヤッと意地悪い笑みが広がっていく。九尾狐らしい、蠱惑的な笑みだ。
「さ、充分姫を虐めたので。もう満足しました。早く行きますよ」
京はニヤッと笑みを見せてから、スクッと立ち上がった。虐めた自覚があるのか!と突っ込みそうになったが。急に立ち上がられて、笑みを向けられた事に呆気にとられる。
「行く?どこに?」
「どこって、決まってるでしょ。行きますよ、城下町」
「まことか?!!」
単語を聞いた瞬間に、ぱあっと顔が明るくなった。年甲斐も無く、目を分かりやすいほどに煌めかせてしまったのか。京がぷっと小さく吹き出した。その笑みで慌てて冷静を取り繕い、ごほんごほんとわざとらしく咳払いをする。
「うむ。そうじゃな、城におっても退屈なだけだしの。城下町に参ろう」
威厳たっぷりに言ってから、横に置いてあった愛刀をむんずと掴んで立ち上がり、スッと腰に差す。
幸いにも着替えをせずに、そのまま出かけられる姿になっていたので、京を待たせる事なく「行くぞ」と声をかけてから部屋を出た。