京の為にと思って持ってきた酒の蓋をぽんっと外し、やけ酒をかっ食らう。
すると京が「あっ」と言う、素っ頓狂な声を上げた。
「姫、良い物をお持ちになられているじゃないですか!!」
「そうじゃ、持って来られずにいたであろうと思って、持ってきたのじゃが」
「おお!姫、かたじけのうございます!」
恭しく頭を下げてから、わざとらしくきゅるんと潤ませた瞳でわらわを見据える。上目使いで見られ、わらわは言葉に詰まった。
ぐっ、コイツ。本当にこういう時だけは・・・。だが、それですぐに引く訳にはいかぬのじゃ。
わらわは全てを許してしまいそうな目を見ない様に、ぷいっと顔を背ける。
「そんな顔をしても無駄じゃぞ」
瓢箪を傾かせて、ぐびぐびと喉に酒を流し込む。「あああ」と言う小さな悲鳴が、横から上がった。
ふん、そんな声を上げようとも無駄じゃ。これでちとわらわの事を敬うが良い!
鼻を鳴らして、もう一度瓢箪を傾けようとした刹那。わらわの目の前に、ヒラヒラと白銀色の蝶が現れた。キラキラと煌めく白の鱗粉を纏わせながら。
「わあ!」
歓声をあげると、ひらひらと何匹もの白銀色に輝く蝶が、わらわの周りを幻想的に飛び始める。仄かに白銀色に光る美しい蝶から、ひらひらと舞い落ちる鱗粉は幻想的な世界を作り出した。
「どうでしょう、姫。これでお許しを」
恭しい声が聞こえ、横を向くと、京が手の平からふわふわと幻想的な蝶を生み出していた。
一匹だった蝶は、数匹に増え、月光を受けて益々煌びやかな光を纏って飛んでいる。
美しく幻想的な世界に誘われ、わらわは目の前の世界に見惚れ、心を簡単に奪われた。
「凄いぞ、京!実に見事じゃ!美しい!これは見事じゃ!」
パチパチと拍手をしながら歓声を上げると、京は「光栄なお言葉」と恭しく告げた。
そしてわらわは「ほら」と酒の入った瓢箪を渡した。
「この幻想的な世界に免じて、じゃ」
京は「かたじけのうございまする!」と喜色を浮かべながら受け取り、すぐにきゅぽんと蓋を外し、妖術でお猪口を取り出して、酒を煽り始める。
「それにしても凄いのぅ。生きている様に見えるわ、凄いのぅ。美しいだけにあらず、とても妖艶じゃ。蝶をこんなに美しいと思うた事はないのぅ」
感嘆の言葉が止まらず、蝶が止まる様にそっと人差し指を出して、蝶を待った。
すると京が「あっ」と言う、素っ頓狂な声を上げた。
「姫、良い物をお持ちになられているじゃないですか!!」
「そうじゃ、持って来られずにいたであろうと思って、持ってきたのじゃが」
「おお!姫、かたじけのうございます!」
恭しく頭を下げてから、わざとらしくきゅるんと潤ませた瞳でわらわを見据える。上目使いで見られ、わらわは言葉に詰まった。
ぐっ、コイツ。本当にこういう時だけは・・・。だが、それですぐに引く訳にはいかぬのじゃ。
わらわは全てを許してしまいそうな目を見ない様に、ぷいっと顔を背ける。
「そんな顔をしても無駄じゃぞ」
瓢箪を傾かせて、ぐびぐびと喉に酒を流し込む。「あああ」と言う小さな悲鳴が、横から上がった。
ふん、そんな声を上げようとも無駄じゃ。これでちとわらわの事を敬うが良い!
鼻を鳴らして、もう一度瓢箪を傾けようとした刹那。わらわの目の前に、ヒラヒラと白銀色の蝶が現れた。キラキラと煌めく白の鱗粉を纏わせながら。
「わあ!」
歓声をあげると、ひらひらと何匹もの白銀色に輝く蝶が、わらわの周りを幻想的に飛び始める。仄かに白銀色に光る美しい蝶から、ひらひらと舞い落ちる鱗粉は幻想的な世界を作り出した。
「どうでしょう、姫。これでお許しを」
恭しい声が聞こえ、横を向くと、京が手の平からふわふわと幻想的な蝶を生み出していた。
一匹だった蝶は、数匹に増え、月光を受けて益々煌びやかな光を纏って飛んでいる。
美しく幻想的な世界に誘われ、わらわは目の前の世界に見惚れ、心を簡単に奪われた。
「凄いぞ、京!実に見事じゃ!美しい!これは見事じゃ!」
パチパチと拍手をしながら歓声を上げると、京は「光栄なお言葉」と恭しく告げた。
そしてわらわは「ほら」と酒の入った瓢箪を渡した。
「この幻想的な世界に免じて、じゃ」
京は「かたじけのうございまする!」と喜色を浮かべながら受け取り、すぐにきゅぽんと蓋を外し、妖術でお猪口を取り出して、酒を煽り始める。
「それにしても凄いのぅ。生きている様に見えるわ、凄いのぅ。美しいだけにあらず、とても妖艶じゃ。蝶をこんなに美しいと思うた事はないのぅ」
感嘆の言葉が止まらず、蝶が止まる様にそっと人差し指を出して、蝶を待った。