戦妖記~小国の戦姫~

 それからは大切な約束を果たす為、姫を探す旅に出た。激戦を繰り広げている各地を転々と周り、姫を探し続けたのだ。
 時折来る妖王からの刺客を退け、妖王とも直々に戦い続けたが。いつも妖王には敵わずにいた。どんな手を使っても、奇襲をかけても。奴を仕留める事は、出来なかった。
 しかし妖王は仕留められずとも、織田信長の方は仕留める事が出来た。
 姫を探す傍ら、俺は好機を待っていたのだ。どんな戦でも死なせぬ様に、裏で動き、絶妙な機会を待ち焦がれていた。
 そして有頂天になり、天下まであと一歩だと言う所を見計らって。妖王と同じ様に明智光秀を唆し、本能寺で休養を取っていた所を襲撃した。
 少数で居る所を攻め入られ、姫と同じ苦しみに味あわせてやろうと企んだわけだが。計らい通り、信長は姫と同じように火をつけ、自刃した。
 そうして俺は明智が入る前に、燃えている寺を進み、変わり果てた信長の首を斬った。姫の寺に餞として奉りたかったので、明智が入る前に織田の首を先に取ったのだ。
 敵討ちが出来ただけではなく、妖王の手駒も一つ潰す事が出来て、俺としては万々歳だった。
 それから明智がどうなったかは興味がない。とにかく俺は自分の責務を一つ果たしたので、もう一つの責務に念頭を置く事にした。
 姫を探すと言う、約束を果たす為に。
 仇を討ったから、姫はもう来てくれるだろう。時間がかかったけれど、その方が良いのだろう。
 姫、俺は探し続けていますから。早く会いたいです、姫・・・

エピローグ
 あれから時は移ろい、時代は明治になっていた。
 俺はドサッと、どこかの庭に転げ落ちる。大きな木に突っ込み、体がそのままどさっと無様に落ちた。
 クソ、妖王め・・・。何百年もしつこい奴だ、幾度も俺の邪魔をしやがって。どれほどの邪魔をすれば、どれほど壊せば気が済むんだ。
 チッと舌打ちしながら、妖王につけられた傷を押さえる。腕からダラダラと血が流れ続け、止まる気配を見せない。治癒を施そうとするが、治癒の狐火が小さくなっていく。うまく妖力が、治癒に回らないのだ。
 そうか、ご丁寧に毒を入れ込みやがったな。このままだと血も止まらず、毒で体も蝕まれていく。このままじゃ確実に、死ぬ。姫をまだ見つけられていないと言うのに。
 俺は、はあはあと肩で息をして、目を閉じた。