憤懣とするが、俺の怒りは焦りにも近かった。それはなぜか。最悪な事に、もう俺の妖力が無くなりつつあるからだ。
こんな不毛な戦いに身を投じて続ければ、妖力も無くなり、姫の元に戻れぬまま全て終わってしまう。それだけは、絶対にごめんだ。
今生きている妖怪は雑魚数百と、雷獣か。そして、雷獣は俺と同じくらい消耗している。
この状況で、相応しいのはあの術だ。妖力の消費も大きいし、姫には使うでないぞと言われていた禁術だが。出し惜しみしている場合ではない、ありたっけの妖力を込めてケリをつけてやる。
俺は手で狐の形を作り、自分の影に指先を合わせ「幻影術」と呟く。
「泡影」
引っ張りあげるように、手を上げていくと、俺の影からどろっと大きな影狐が出てくる。だが、それは完璧な影狐と呼ぶにはほど遠い。どろどろと影の体が瓦解し、「おお、おお」と低い呻き声をあげている。辛うじて狐の形を保っているだけの化け物に近い。
妖怪達は、突如現れた異様な化け物に怯む様な素振りを見せた。本能で危険だとでも察知しているのだろう。
だが雷獣だけは猛り、「そんな物で倒せられるか!」と吠え、こちらにびゅおっと向かってきた。
「やれ」
冷徹に告げ、バッと雷獣に向かい手を出すと「お、おお、お!」と雄叫びを上げながら、影狐の体がぷくっと腫れ上がり、ぱんっと弾け飛んだ。
飛び散った影狐の液体は、妖怪と織田軍にバシャッとかかっていく。
目の前の雷獣はもろに浴び、茶色の体に黒色の斑点が幾つも作られていた。雷獣は相変わらず猛々しく突っ込んできたが。俺に爪を届けさせる前に「うぐっ?!」と不自然に止まった。
雷獣の体を見ると、黒の斑点があの大きな影狐を作り始め、徐々に体が影狐の黒色に染まっていく。
それに気がついた雷獣は、体に取り憑いた影狐をなぎ払おうと、手や雷を使って影狐を何度も壊していたが。ぱしゅんっと形を崩すだけで、どんどんと黒の侵食を進めていく。
そして体から伸びた影狐が大きな口を開け、ばくんと躊躇無く雷獣の頭に噛みついた。「おおおお!」という地を震わせる怒声があがったが、雷獣の形をした影狐と成り代わってしまうと、どろっと影の世界に消える。
もう、俺の目の前には雷獣の姿はなかった。
こんな不毛な戦いに身を投じて続ければ、妖力も無くなり、姫の元に戻れぬまま全て終わってしまう。それだけは、絶対にごめんだ。
今生きている妖怪は雑魚数百と、雷獣か。そして、雷獣は俺と同じくらい消耗している。
この状況で、相応しいのはあの術だ。妖力の消費も大きいし、姫には使うでないぞと言われていた禁術だが。出し惜しみしている場合ではない、ありたっけの妖力を込めてケリをつけてやる。
俺は手で狐の形を作り、自分の影に指先を合わせ「幻影術」と呟く。
「泡影」
引っ張りあげるように、手を上げていくと、俺の影からどろっと大きな影狐が出てくる。だが、それは完璧な影狐と呼ぶにはほど遠い。どろどろと影の体が瓦解し、「おお、おお」と低い呻き声をあげている。辛うじて狐の形を保っているだけの化け物に近い。
妖怪達は、突如現れた異様な化け物に怯む様な素振りを見せた。本能で危険だとでも察知しているのだろう。
だが雷獣だけは猛り、「そんな物で倒せられるか!」と吠え、こちらにびゅおっと向かってきた。
「やれ」
冷徹に告げ、バッと雷獣に向かい手を出すと「お、おお、お!」と雄叫びを上げながら、影狐の体がぷくっと腫れ上がり、ぱんっと弾け飛んだ。
飛び散った影狐の液体は、妖怪と織田軍にバシャッとかかっていく。
目の前の雷獣はもろに浴び、茶色の体に黒色の斑点が幾つも作られていた。雷獣は相変わらず猛々しく突っ込んできたが。俺に爪を届けさせる前に「うぐっ?!」と不自然に止まった。
雷獣の体を見ると、黒の斑点があの大きな影狐を作り始め、徐々に体が影狐の黒色に染まっていく。
それに気がついた雷獣は、体に取り憑いた影狐をなぎ払おうと、手や雷を使って影狐を何度も壊していたが。ぱしゅんっと形を崩すだけで、どんどんと黒の侵食を進めていく。
そして体から伸びた影狐が大きな口を開け、ばくんと躊躇無く雷獣の頭に噛みついた。「おおおお!」という地を震わせる怒声があがったが、雷獣の形をした影狐と成り代わってしまうと、どろっと影の世界に消える。
もう、俺の目の前には雷獣の姿はなかった。



