戦妖記~小国の戦姫~

 雷獣とも接戦を繰り広げているが、こちらからは雷獣が押され気味に感じるの。初めて対峙した時は人間の変化のままだったから、五分五分程度ではあったが。
 やはりあの姿になると上になるのか。まぁ、色々な制限が外れ、力の余分がないからであろうな。うむうむ、しかとわらわの血を受け継いでいると感じるのぅ。
 アレが聞けば、嫌悪の顔を見せるであろうが。やはり妖王の息子、と言う事なのであろうなぁ。
「どうしてくれるのだ、妖王」
「案ずるでない、信長公。まだ戦はこれから、と言うものだろう」
 わらわは扇で口元を隠し、フフッと笑みを零す。すると信長の「何か策があるのか?」と言う、ぶっきらぼうな声が部屋に響いた。
 相変わらず、傲慢な態度だが。わらわはそれにも目を瞑り「勿論じゃ、そろそろこちらも動くとしようかのぅ」と艶然と答える。
 そう、戦はこれから。いや、楽しい時はこれから、と言うべきであろう。
 御影の大切なものを悉く潰していくのは、やはり楽しいのぅ。
 パタパタと口元を扇で隠していたが、隠しきれない笑い声が静かな部屋に響いていた。
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 京がこちら側に参戦した途端、圧倒的な劣勢を敷かれていた美張陣営が息を吹き返したように押し返し始めた。
 京の攻撃から何とか免れた人間が城に攻め入るが、門に構えている弓矢部隊とわらわが率いる攻撃部隊が待ち構えているので、門前でバタバタと倒れていく。
「皆、気を抜くでないぞ!」
 声を張り上げながら、わらわは目の前に襲いかかる敵を斬り伏せていく。
 京が来て、些か形成が勝ちに傾いたとなっても。まだ勝ちを掴める訳ではない。
 やはり数が凄まじい。斬っても斬っても、終わりが見えない。あの人数を相手取っていくうちに、こちらの体力ばかりが消耗されていく。
 わらわ達でこんなに肩で息をしているのだ。前線で踏ん張っている京は、もっと消耗しているだろう。一度京を戻した方が良いか。
 考え事をしながら緋天をザシュッと振り下ろし、また一人敵を斬っていく。
「姫様!」
 ハッとして振り向くと、新手が向かってきていたが。総介が声を上げながら、すんでの所を斬り捨てた。
「すまぬ、総介!」
「まだまだ来ます!しっかりとなさいませ、親方様!」
 ザシュッ、ザシュッ。