「やはりここでジッと待つなんて、美張の長としての名が廃るわ。それに、戦姫という呼び名にも、な」
わらわがハッキリと答えると、総介は「はあ」と困った様にため息を吐き出してから
「拙者が、何が何でもお守りいたしまする」
と力強く答え、膝をついた。わらわはその姿に破顔し「頼りにしておるぞ」と告げた。
「参るぞ!!」
「「ハッ!」」
二人の力強い声を聞き、わらわはギュッと緋天を握りしめてから部屋を出る。
廊下を進み、戦場に近づいていく度に口元が綻んだ。こんな時だと言うのに、へらへらとしているとは何事かと思われるであろうが。
ようやく、わらわの両翼が揃ったのだ。失っていた翼が戻り、わらわは大きく羽ばたける様になったのだ。
こんな時だと言うのに、ではなく、こんな時になったからと言うべきであっただろうな。
・・・・・
「妖王よ、話が違うではないか。え?」
ぶわんと空間に映る、織田信長。こちらを見ずに前を見据えて、敵を殲滅させようと燃えてはいるが。その顔は剣呑になっている。
「はて、話が違うとな?」
わらわはころころと鈴を転がす様に笑いながら、向こうに映る信長に話かける。
「なぜ、九尾狐があちらにいる?!其方が足止めをしているはずではないか!」
眦を決して、このわらわに脅しをかけた。
全く。人間風情が、わらわに圧を送ろうなんて無礼極まりない、が。まだここで奴を切り離す訳にもいかぬし、面白き人間である事には間違いない。ここは一つ、目を瞑ってやろうかのぉ。
わらわはパタパタと扇で口元を煽ぎながら、信長を見据える。
「ホホホ、あれでも愚息なのでな。止めるには、ちと手厳しかったのじゃわぁ。久方ぶりに、わらわも手傷を負ってなぁ」
「そんな事は知らぬ!アレが暴れ回っていると本陣に攻めきれぬのだ!現に兵が奴一人に、何百と屠られておるのだぞ!」
何百と屠る、か。
織田の目に視点を変え、信長が見ている景色を空間に広げると。先程出て行ったばかりの御影が暴れ回っていた。
妖怪の姿のまま雷獣と張り合い、城に攻め入ろうとしている妖怪や人間達を、躊躇なくかまいたちの様な鋭い攻撃で切り刻んでいる。わらわが美張の城主らを斬った時と同じように。
神聖とも感じる様な出で立ちではいるものの。残虐性を残し、乱れる髪を振り回し、手を真っ赤に染めながら返り血を浴びている姿は、神聖とは程遠いな。
わらわがハッキリと答えると、総介は「はあ」と困った様にため息を吐き出してから
「拙者が、何が何でもお守りいたしまする」
と力強く答え、膝をついた。わらわはその姿に破顔し「頼りにしておるぞ」と告げた。
「参るぞ!!」
「「ハッ!」」
二人の力強い声を聞き、わらわはギュッと緋天を握りしめてから部屋を出る。
廊下を進み、戦場に近づいていく度に口元が綻んだ。こんな時だと言うのに、へらへらとしているとは何事かと思われるであろうが。
ようやく、わらわの両翼が揃ったのだ。失っていた翼が戻り、わらわは大きく羽ばたける様になったのだ。
こんな時だと言うのに、ではなく、こんな時になったからと言うべきであっただろうな。
・・・・・
「妖王よ、話が違うではないか。え?」
ぶわんと空間に映る、織田信長。こちらを見ずに前を見据えて、敵を殲滅させようと燃えてはいるが。その顔は剣呑になっている。
「はて、話が違うとな?」
わらわはころころと鈴を転がす様に笑いながら、向こうに映る信長に話かける。
「なぜ、九尾狐があちらにいる?!其方が足止めをしているはずではないか!」
眦を決して、このわらわに脅しをかけた。
全く。人間風情が、わらわに圧を送ろうなんて無礼極まりない、が。まだここで奴を切り離す訳にもいかぬし、面白き人間である事には間違いない。ここは一つ、目を瞑ってやろうかのぉ。
わらわはパタパタと扇で口元を煽ぎながら、信長を見据える。
「ホホホ、あれでも愚息なのでな。止めるには、ちと手厳しかったのじゃわぁ。久方ぶりに、わらわも手傷を負ってなぁ」
「そんな事は知らぬ!アレが暴れ回っていると本陣に攻めきれぬのだ!現に兵が奴一人に、何百と屠られておるのだぞ!」
何百と屠る、か。
織田の目に視点を変え、信長が見ている景色を空間に広げると。先程出て行ったばかりの御影が暴れ回っていた。
妖怪の姿のまま雷獣と張り合い、城に攻め入ろうとしている妖怪や人間達を、躊躇なくかまいたちの様な鋭い攻撃で切り刻んでいる。わらわが美張の城主らを斬った時と同じように。
神聖とも感じる様な出で立ちではいるものの。残虐性を残し、乱れる髪を振り回し、手を真っ赤に染めながら返り血を浴びている姿は、神聖とは程遠いな。



