急いで様子を見ると、京が怒っている雷獣の攻撃を躱しており、華麗に狐火を妖怪共に食らわせていた。
「あの京は本体か?」
「いや、そんな訳ないでしょう。こうして姫の御前に居る俺が本物ですよ」
いつもの様に呆れた口調でわらわの言葉を否定し、いつもの様に一歩下がった横に並ぶ。
「あれは影分身です。だから直に突破されますよ。分身で止められる程、雷獣は甘くないですからね」
京が冷淡に答えた瞬間に、京の分身に雷と妖怪の雑兵が纏わり付くように追いかけていく。そして雷獣が背後に回り込み、後ろから一撃を入れられてしまった。
攻撃をもろに食らった京の分身は、どろっと墨汁で出来た様な全身に変わり、その場で消えてしまった。
「あっ、やられましたね。やっぱり影分身は弱いですねぇ」
目の前で自分がやられたと言う光景なのに、いつもの様に飄々としていた。悔しがるでもなく、ただ淡々と前を見据えていた。
やはり京は、京じゃな。
わらわがそんな事を思っていると、京は「姫」と真剣な声で呼びかける。
「大変申し上げにくい事ですが、今川の援軍はやってきません」
最悪の進言なのに、恐ろしいまでに冷静に受け止めていた自分がいた。今川めと怒る気持ちもあるが、その事実を淡々と受け入れ、やはりそうかと静かに頷く自分がいたのだ。
「そうであったか」
「姫、これには妖王が噛んでいるのです。姫と会った今川は本人ではなく、妖王にございます」
衝撃的な発言に、ここで初めて目を剥いて「妖王?」と怪訝になるが。京の表情は真剣で、とても嘘には思えない。
「これは最低最悪な妖怪の王が、暇つぶしと称して行った事にございまする」
憎々しげに語られる言葉に、わらわは言葉を失う。烈火の如く燃え上がる怒りを通り越して、どこか呆けてしまう。
暇つぶし。そんな事で、わらわ達に破滅の道を進ませているのか。
「全て奴が巡らせた策にございます、我らはその策通りに進まされている。親方様と奥方様を殺し、俺と姫を仲違いさせ、今川を頼る様に仕向けたのも。全て妖王の策にございまする!」
切羽詰まって告げられる言葉が、すとんすとんと自分の心に丁寧に当てはめられていく。
そうか。あの今川は妖王の変化だったのか。道理で恐ろしい思いを感じ取った訳じゃわ。そして援軍が来ない訳も頷けるのぅ。だから聡い京は妖王に一人刃向かって、傷を負って帰ってきたのか。
「あの京は本体か?」
「いや、そんな訳ないでしょう。こうして姫の御前に居る俺が本物ですよ」
いつもの様に呆れた口調でわらわの言葉を否定し、いつもの様に一歩下がった横に並ぶ。
「あれは影分身です。だから直に突破されますよ。分身で止められる程、雷獣は甘くないですからね」
京が冷淡に答えた瞬間に、京の分身に雷と妖怪の雑兵が纏わり付くように追いかけていく。そして雷獣が背後に回り込み、後ろから一撃を入れられてしまった。
攻撃をもろに食らった京の分身は、どろっと墨汁で出来た様な全身に変わり、その場で消えてしまった。
「あっ、やられましたね。やっぱり影分身は弱いですねぇ」
目の前で自分がやられたと言う光景なのに、いつもの様に飄々としていた。悔しがるでもなく、ただ淡々と前を見据えていた。
やはり京は、京じゃな。
わらわがそんな事を思っていると、京は「姫」と真剣な声で呼びかける。
「大変申し上げにくい事ですが、今川の援軍はやってきません」
最悪の進言なのに、恐ろしいまでに冷静に受け止めていた自分がいた。今川めと怒る気持ちもあるが、その事実を淡々と受け入れ、やはりそうかと静かに頷く自分がいたのだ。
「そうであったか」
「姫、これには妖王が噛んでいるのです。姫と会った今川は本人ではなく、妖王にございます」
衝撃的な発言に、ここで初めて目を剥いて「妖王?」と怪訝になるが。京の表情は真剣で、とても嘘には思えない。
「これは最低最悪な妖怪の王が、暇つぶしと称して行った事にございまする」
憎々しげに語られる言葉に、わらわは言葉を失う。烈火の如く燃え上がる怒りを通り越して、どこか呆けてしまう。
暇つぶし。そんな事で、わらわ達に破滅の道を進ませているのか。
「全て奴が巡らせた策にございます、我らはその策通りに進まされている。親方様と奥方様を殺し、俺と姫を仲違いさせ、今川を頼る様に仕向けたのも。全て妖王の策にございまする!」
切羽詰まって告げられる言葉が、すとんすとんと自分の心に丁寧に当てはめられていく。
そうか。あの今川は妖王の変化だったのか。道理で恐ろしい思いを感じ取った訳じゃわ。そして援軍が来ない訳も頷けるのぅ。だから聡い京は妖王に一人刃向かって、傷を負って帰ってきたのか。



