げに愚かじゃった、と京の耳元でしっかりと告げる。言葉の一つ一つに思いを込め、今までの思いを吐き出した。
京は「姫」と涙ぐんだ声を出し、わらわの肩に顔を少し埋める。
「姫は何も悪くありませぬ。全て俺のせいなのです、俺のせいで。親方様も、奥方様も、皆も。俺は姫の大切なものを何一つ守れなかった。仇でさえ討つ事が出来なかった。故に、側仕えを辞めさせられても、当然の事。姫の側仕え足る資格はありませぬ」
歯がみしながら告げる京の言葉は苦しさと悲しさ、自分への怒りに溢れていた。
わらわは背中に回す腕に力を込め「そんな事はないぞ」とハッキリ告げる。
「京はわらわの側仕えじゃ。全幅の信頼を置ける側仕えじゃ。主はやるべき事を精一杯やってくれた、今までも。これからもじゃ」
ポンポンと肩に埋まった頭を軽く叩くと、「姫」と涙ぐむ声が耳に入った。わらわはその声にフフッと相好を崩し「京よ」と言葉を投げかける。
「よう戻って来てくれた。わらわは再び主に会えて嬉しいぞ。もう二度と会えぬと思うておったから、主と仲違いしたままで終わるのかと思うておったから。生きている間に会えて、良かった。やはりわらわは京がおらぬといかんわ」
喜色を浮かべながら言うと、「俺もです、姫」と真心が乗った言葉が吐き出される。
「俺も姫のおそばにいたい。もう二度と離れとうありませぬ」
背中部分の甲冑に京の手が乗ったが、すぐにその手は思い直した様にパッと引っ込められた。それに、わらわはフフッと微笑んで「良い」と耳元で優しく囁く。
すると急いで引っ込められ、行き場を無くした手が、おずおずと甲冑に触れる感触が伝わる。
そして覚悟を決めた様に、甲冑に乗った手に力が込められた。より自分に引き寄せる様に、背中をぐっと押される様に抱きしめられた。長い爪で傷をつけない様に、力を込め過ぎてわらわが苦しくない様に。強くも優しい抱擁、耳元でしっかり聞こえる「姫」とわらわを優しく呼ぶ声。
京が近くに居る。こうして手を伸ばし、抱きしめる距離にいられる。二人の間に出来た深い溝もすっかりと埋まった。
自分の胸に良かったと言う安堵と共に、味わった事のない喜びが渦巻いた。京と離れたくはなかったのだ、ずっとこうしたかったのだなと、心底思い知らされる。
だが、どおおんっと言う雷が近くで落ち、わらわ達は我に帰り、パッと離れた。
京は「姫」と涙ぐんだ声を出し、わらわの肩に顔を少し埋める。
「姫は何も悪くありませぬ。全て俺のせいなのです、俺のせいで。親方様も、奥方様も、皆も。俺は姫の大切なものを何一つ守れなかった。仇でさえ討つ事が出来なかった。故に、側仕えを辞めさせられても、当然の事。姫の側仕え足る資格はありませぬ」
歯がみしながら告げる京の言葉は苦しさと悲しさ、自分への怒りに溢れていた。
わらわは背中に回す腕に力を込め「そんな事はないぞ」とハッキリ告げる。
「京はわらわの側仕えじゃ。全幅の信頼を置ける側仕えじゃ。主はやるべき事を精一杯やってくれた、今までも。これからもじゃ」
ポンポンと肩に埋まった頭を軽く叩くと、「姫」と涙ぐむ声が耳に入った。わらわはその声にフフッと相好を崩し「京よ」と言葉を投げかける。
「よう戻って来てくれた。わらわは再び主に会えて嬉しいぞ。もう二度と会えぬと思うておったから、主と仲違いしたままで終わるのかと思うておったから。生きている間に会えて、良かった。やはりわらわは京がおらぬといかんわ」
喜色を浮かべながら言うと、「俺もです、姫」と真心が乗った言葉が吐き出される。
「俺も姫のおそばにいたい。もう二度と離れとうありませぬ」
背中部分の甲冑に京の手が乗ったが、すぐにその手は思い直した様にパッと引っ込められた。それに、わらわはフフッと微笑んで「良い」と耳元で優しく囁く。
すると急いで引っ込められ、行き場を無くした手が、おずおずと甲冑に触れる感触が伝わる。
そして覚悟を決めた様に、甲冑に乗った手に力が込められた。より自分に引き寄せる様に、背中をぐっと押される様に抱きしめられた。長い爪で傷をつけない様に、力を込め過ぎてわらわが苦しくない様に。強くも優しい抱擁、耳元でしっかり聞こえる「姫」とわらわを優しく呼ぶ声。
京が近くに居る。こうして手を伸ばし、抱きしめる距離にいられる。二人の間に出来た深い溝もすっかりと埋まった。
自分の胸に良かったと言う安堵と共に、味わった事のない喜びが渦巻いた。京と離れたくはなかったのだ、ずっとこうしたかったのだなと、心底思い知らされる。
だが、どおおんっと言う雷が近くで落ち、わらわ達は我に帰り、パッと離れた。



