いつもと変わらぬ太陽が昇り、いつもと変わらぬ日々を民が過ごしていると言うのに。ここだけが非日常とは。なんと悲しい事か。本来であれば、ここも日常であっても良いはずじゃ。
もしや、もう一つの世界があって。皆、そっち側の日常にいるのかの。もう一つの世界では、今わらわに声をかけてくれているのかのぉ。
いつも通り。隣にも総介がいて、京がいて・・・
わらわはフッと自嘲気味な笑みを浮かべた。
なんと虚しい事を思ったものか。死んだ者は生き返らぬと言うのに。そして京もわらわから「出て行け」と言い、冷徹に突き放したと言うのに。
なんと虚しい事を考えるものよ。心が壊れ、頭が正常な事を考えられなくなったから、こんな支離滅裂な事を考えるのか。
まだ心の奥底で、子供の様に泣きじゃくる自分を抑え切れていないのじゃな。しっかりせねば。わらわはもう子供ではない、美張国国主じゃ。この者等を導き、国を守る長じゃ。
グッと奥歯を噛みしめ、痛みで己を律する様に拳に深く爪を突き立てた。
そして部屋に着き、父上のご遺体と対面し、皆に「敬意を持ってやるのじゃ」と命じる。
皆が父上を運びたがったが。年と位の順を配慮した配置で持ち上げ、皆で力を合わせて、父上の体を城の外にと運び込む。
そうして父上が城から墓穴に移るが、その間「親方様」とむせび泣く声が絶えなかった。
これほどまでに家臣達から慕われるなぞ、やはり父上は凄いお方じゃな。
苦しみで歪められながらも、驚きで固まった父上のお顔を見つめながら、わらわは顔を少し綻ばせた。
ここまで慕われる主君は、なかなかおらぬだろうが。父上ならば、ここまで慕われるのは納得出来ると言うもの。
一国を一代で築き上げた手腕も見事ながら、その人柄も素晴らしいものじゃ。
父上はとても優しい心を持ったお人であった。誰にでも平等に接し、一人一人を思いやり、取りこぼさない姿勢を見せておられた。家臣も、民も常に慮っておられた。
もしや、もう一つの世界があって。皆、そっち側の日常にいるのかの。もう一つの世界では、今わらわに声をかけてくれているのかのぉ。
いつも通り。隣にも総介がいて、京がいて・・・
わらわはフッと自嘲気味な笑みを浮かべた。
なんと虚しい事を思ったものか。死んだ者は生き返らぬと言うのに。そして京もわらわから「出て行け」と言い、冷徹に突き放したと言うのに。
なんと虚しい事を考えるものよ。心が壊れ、頭が正常な事を考えられなくなったから、こんな支離滅裂な事を考えるのか。
まだ心の奥底で、子供の様に泣きじゃくる自分を抑え切れていないのじゃな。しっかりせねば。わらわはもう子供ではない、美張国国主じゃ。この者等を導き、国を守る長じゃ。
グッと奥歯を噛みしめ、痛みで己を律する様に拳に深く爪を突き立てた。
そして部屋に着き、父上のご遺体と対面し、皆に「敬意を持ってやるのじゃ」と命じる。
皆が父上を運びたがったが。年と位の順を配慮した配置で持ち上げ、皆で力を合わせて、父上の体を城の外にと運び込む。
そうして父上が城から墓穴に移るが、その間「親方様」とむせび泣く声が絶えなかった。
これほどまでに家臣達から慕われるなぞ、やはり父上は凄いお方じゃな。
苦しみで歪められながらも、驚きで固まった父上のお顔を見つめながら、わらわは顔を少し綻ばせた。
ここまで慕われる主君は、なかなかおらぬだろうが。父上ならば、ここまで慕われるのは納得出来ると言うもの。
一国を一代で築き上げた手腕も見事ながら、その人柄も素晴らしいものじゃ。
父上はとても優しい心を持ったお人であった。誰にでも平等に接し、一人一人を思いやり、取りこぼさない姿勢を見せておられた。家臣も、民も常に慮っておられた。



