『誰だよ。こんな泥沼の中に剣なんか捨てたの』
『うっわ錆っび錆びじゃん。可哀想に』
『あら。綺麗にしたら立派な剣じゃない。うーん。私が持っているのもなんだしなー。そうだ。お社とかに納めてもらおうっと。何かいい感じの御神体になってくれるかも』

あの頃から、彼女はずっと変わらない。思い返せば、『失敗作』と断じられて捨てられた自分が、人の姿に顕現できる程の力を得て神と崇められるようになったのは、全て彼女のお陰だ。
何も覚えていなくても構わない。彼女は人の子だし、彼女には現在の彼女の人生がある。
だが、やっと巡ってきた共に生きられる機会を逃すつもりは無い。ずっと彼女を待ち続けてきたのだから。

『あくまでも契約上の間柄』から進展するのが大変そうだが。