「だから、言わせてくれよ…」

 もう君をなでる右腕も、君と歩く脚も、言うことを聞かないのだけれど。言いたいことを言える口は残っている。

 でも君は、君は、ICUのガラス戸の向こうで眠っている。

 「もう、意識は戻らないと思ってください」

 きっと俺はもう、誰にも告白できないほど、君を愛してしまったのだと、崩れ落ちた。