カフェの経営も軌道に乗ってきて、スタッフも増えてきたところで、俺は帰国を決めた。
相変わらず人員不足で、それにもかかわらず事業ばかりを拡大していく日本の語学カフェの方を手伝うことになったのだ。
レッスン希望者も増えて、さらに人のいい店長はお客さんの要望も細かく聞いて、いろんなサービスを始めている。
そりゃ、人員不足にもなる。
ただでさえ、店長一人で切り盛りしてるんだから。
さて、帰国するはいいがサッカーはどうしようかと考えていた。
次の楽しくサッカーをできる場所を求めていた時だった。
店長に紹介されたのが、小学生のサッカー教室だった。
子どもと触れ合ったことなんてない。
正直どうしていいかわからない。
そんな理由で断ろうとした時、
「でも勝見君、教えるの上手いじゃん」
「え?」
「ほら、受験生の時、よくここで勉強教えてたでしょ、友達に」
「……ああ」
高三の夏休みの記憶が、ほんの少しだけ俺の脳裏をかすめていった。
「僕はそのころから思ってたんだけど、勝見君、実は教えるの好きなんじゃない? 向いてると思うんだけどなあ」
その言葉に、思い当たる節はあった。
好きというか、楽しい。
ここで園田を相手にしていた時も、図書室でも。
「その話、引き受けます」
次の楽しい場所は、そこになるような気がした。
こんな進路もまた、俺っぽいと思った。
なんとなく。