そんな俺たちは、サッカーコートの中でも、息はいつもぴったりと合っていた。
俺がパスを送れば広瀬は必ず受け取ってくれたし、俺もなんとなく広瀬の動きが読めていた。
良いコンビだとほめられる一方で、他校からはマークされることが多かった。
特に広瀬は目立っていたから。
顔もいいし、スポーツマンらしいスタイルも目を引くし、爽やかだし、無駄なパフォーマンス精神で試合をいろんな意味で盛り上げていた。
他校の女子たちにも目を付けられ、知らない制服の女子たちがよく応援に来ていた。

良いコンビと言われつつ、マークされるのはそんな広瀬ばかりで、俺は悠々とコートの中を走り回っていた。
まるで、空気のように。
風のように。

どこの学校と試合をしても言われるのは、「一番マークしないといけないのは、勝見だった」という過去形の言葉だった。
俺の存在はたいてい、試合が終わってから気づかれる。
だからそんな誉め言葉も、嬉しいような、切ないような。
（苦笑）という感じだ。