「後半が本音だな。君が、後先を考えているとは思えん」

 ひどい言われようだ……。

 その間にも、宮橋の運転する青いスポーツカーは、ぐんぐん他の車を追い抜いていた。減速することもなく、四車線の国道へと乗り上げる。

「協力してあげることにしたんですね」

 雪弥が今更のように言えば、宮橋が「ふん」と鼻を鳴らした。大きく切ったハンドルを元に戻し、トラックを二台追い越す。

「まだ少し時間があるからだ。ついでの道中だしな」
「宮橋さんって、やっぱり優しいんですね」
「やめてくれ、反吐が出る」

 褒めただけなのにこの反応……なんでだろうなと雪弥が思っていると、宮橋が続けて言ってきた。

「それに相手は、本物の銃を所持している」
「えっ、そうなんですか?」
「ここで止めないと、三鬼達が発見して追跡している途中、あいつの執念の追いっぷりにパニックを起こした青年達が〝誤って勢いで発砲する〟。だから先廻りで待ち伏せして、そいつらが通過するのを待つ」
「ここを通るんですか? 逃走中の強盗犯が?」

 確か車とバイクが一台ずつだったなと、電話での会話を思い返す。それに語られた宮橋の推測は、やけに詳細が鮮明のようにも思えた。

「なんで分かるんですか?」

 ひとまずの三鬼の下りやら、発砲される危険性やらについては脇に置いて、そもそもな疑問を雪弥は口にした。

 すると宮橋が、そんなことも分からんのかと言わんばかりの目を寄越してきた。

「そんなの、〝見えた〟からに決まっているだろう」

 やっぱりよく分からない人だなぁ……と雪弥は思った。