「もし彼女が、無理をしてまで外出許可について調べるために動いていたのだとしたら、男である俺たちが動くべきだっただろうな」
「ゼンさんが体調を崩した日は、食堂へ降りてきたんだよ。もう一度調べ直して、三人で集まったときに話せるようにしておくと言われた」
「うむ。そうであれば、きっと無理をしたんだろう。申し訳ないことをした」

 罰が悪そうに視線をそらすゼンさんを見て、カワさんも謝るような表情を浮かべた。

「そうだね……ミトさんが部屋を出られるようになったら、僕たちも何か役割を担えないか尋ねてみようか?」
「難しいことは苦手なんだが、努力しよう。俺も、外に出てのびのびとしたい」
「あ、煙草は駄目だよ」

 カワさんは、ここぞとばかりに言って背筋を伸ばした。相手の顔色を窺う様子は微塵たりともなく、ゼンさんは内心驚きながらも眉根を寄せて「どうして」と下唇を突き上げた。

「だって、ミトさんがいるからね。彼女は、お酒も煙草もやらないから、きっと煙が辛いと思うんだ」