「女性の部屋にお邪魔するのも、何せいかんからなぁ」
「うん……、オカメさんに聞いてみようか?」
すっかりオカメで定着した例の看護師は、雷声を掠れさせたような自分なりの『猫撫で声』で来客者たちの相手をし、時には自分の仕事ぶりを発揮するかのように老人たちに声を掛け、同僚に仕事の指示を出し、男性医師の前で身体をくねくねさせながら業務を行っていた。
来客予定がある日は、彼女もいくぶんか化粧も色が控えめだった。それでも、やはり濃いことには変わりないので、来客はマシンガンのように喋り続ける彼女に圧倒されつつ、その顔を凝視しているのだ。
顔は白粉のように真っ白で、首から下は開いた毛穴が見える小麦色の肌。一番力を入れられて化粧がされているのは細い小さな目で、分厚い唇には脂ぎった赤が乗る。
そんな『オカメ』の決め手は、真っ白く膨らんだ厚みのある頬に色つけされた、濃い桃色のチークである。それがゼンさんたちが付けた呼び名の由来だった。
「うん……、オカメさんに聞いてみようか?」
すっかりオカメで定着した例の看護師は、雷声を掠れさせたような自分なりの『猫撫で声』で来客者たちの相手をし、時には自分の仕事ぶりを発揮するかのように老人たちに声を掛け、同僚に仕事の指示を出し、男性医師の前で身体をくねくねさせながら業務を行っていた。
来客予定がある日は、彼女もいくぶんか化粧も色が控えめだった。それでも、やはり濃いことには変わりないので、来客はマシンガンのように喋り続ける彼女に圧倒されつつ、その顔を凝視しているのだ。
顔は白粉のように真っ白で、首から下は開いた毛穴が見える小麦色の肌。一番力を入れられて化粧がされているのは細い小さな目で、分厚い唇には脂ぎった赤が乗る。
そんな『オカメ』の決め手は、真っ白く膨らんだ厚みのある頬に色つけされた、濃い桃色のチークである。それがゼンさんたちが付けた呼び名の由来だった。