彼女から聞く向日葵の話に、カワさんが心底嬉しそうな顔をしていたので、ゼンさんは「やれやれ」と肩をすくめて、そっと二人から離れてベッドに腰かけた。

 恋か。若いねぇ。

 二人より七歳年上だったゼンさんは、恋に年齢は関係あるまい、と思って彼らを見守っていた。何せカワさんを見ていると、純粋な恋愛感情のようで微笑ましくも思えたからだ。俺も歳かな、すっかり丸くなっちまったもんだ、と感じてしまう。

「三人で、向日葵畑を見に行きましょう」

 不意に、そう明るい声で言ってこちらを振り返ったミトさんを見て、ゼンさんはそっと目を細めた。そう言って嬉しそうに笑うミトさんが、不覚にも綺麗だと思った。

 するとカワさんも便乗してきて、「頑張って許可を取ろうよ」と意気込んだ。しかし、ぐっと立ち上がってこちらを振り返った彼が、途端に膝が痛いと口にしてそこを撫でさすった。

「はしゃぎすぎだろう」

 そうゼンさんが苦笑すれば、

「まぁ、子供みたいね」

 とミトさんが上品に笑った。対するカワさんは顔を真っ赤にして、

「うん、なんだか子供みたいだ。けれど、とても楽しいよ」

 と恥ずかしそうにしながらも白状して、照れたように笑った。