「つまり専門家であるはずの彼らに、精神安定剤と睡眠薬を一緒に飲むようにと指導されたの……?」
またもやニヤリとして、ゼンさんは「そう指導された」と答えた。
「奴らが専門家集団とはいえ、あのまま従って薬の服用を続けていたら、俺もこの施設に相応しい住人の一人になっていただろうな。今じゃあ、余計な分まで寄越されている薬もあるが、そっちに関しては必要ないからトイレに流してる」
「……もしかして、疑っているの?」
ミトさんはそこで、声を潜めた。よく分からないカワさんが二人を交互に見る中で、ゼンさんは真面目な顔をして頷いた。
「もし、という可能性の範囲だがな。こっちの医者が、薬の服用のタイミングを分かっていないだけだったかもしれないし……。とはいえ俺は、出来ることならここを出たい。ここにいると嫌なことばかり考えちまう。職員も俺たちと同じ人間で、痴呆になった入園者相手に苦労はしているんだろうが」
そこでゼンさんは、一度言葉を切って、今夜の分の薬に目を留めた。
またもやニヤリとして、ゼンさんは「そう指導された」と答えた。
「奴らが専門家集団とはいえ、あのまま従って薬の服用を続けていたら、俺もこの施設に相応しい住人の一人になっていただろうな。今じゃあ、余計な分まで寄越されている薬もあるが、そっちに関しては必要ないからトイレに流してる」
「……もしかして、疑っているの?」
ミトさんはそこで、声を潜めた。よく分からないカワさんが二人を交互に見る中で、ゼンさんは真面目な顔をして頷いた。
「もし、という可能性の範囲だがな。こっちの医者が、薬の服用のタイミングを分かっていないだけだったかもしれないし……。とはいえ俺は、出来ることならここを出たい。ここにいると嫌なことばかり考えちまう。職員も俺たちと同じ人間で、痴呆になった入園者相手に苦労はしているんだろうが」
そこでゼンさんは、一度言葉を切って、今夜の分の薬に目を留めた。