ゼンさんは、そこでカワさんに「覚えてるかい、カワさん?」と訊いた。

「こっちに来たばかりの頃、奴らの指導通りに薬を飲んだあと、俺は三日間くらい重症の病人みたいだったろう?」

 確認するように尋ねられたカワさんは、小首を傾げて数秒もしないうちに「ああっ、思い出したよ!」と言って頷いた。

「そんなこともあったね」
「その時は唇、頬、舌が痺れてろくに喋れないうえ、身体もひどくだるくて頻繁に眠くなった。頭は朦朧とするし時間の感覚も分からねぇ。つまり俺は、ひどい副作用を起こしていたんだ。元々俺が飲んでる薬の服用時間差については、まぁ個人差もあるから断言するのはアレだがね。調べりゃ素人でも分かることだが、精神安定剤と睡眠薬を一緒に飲むと、高確率でそうなる」

 ゼンさんの言わんとすることに気付いて、ミトさんが大きく目を見開いた。けれど確信を持ってそこを尋ねるのも憚れたのか、確認するようにこう訊いた。