「頭の方の老化が始まると、我が儘に手をつけられなくなった家族が施設に頼むって感じなんだろ? その場合だと、ここの職員ほど図太くて傲慢な奴の方が対応出来るとは思うんだ。ただな、俺としてはそれにあてはまらない、俺らみたいな人間が、こんなところに放り込まれている現状が許せないだけなのさ」
ゼンさんは自分やカワさん、ミトさんを顎で指し示した。けれど自分たちには引き取ってくれる家族がいないのも事実で、次に繋げる言葉も見つからず口を閉じる。
ひどい施設なんだと誰かに訴えれば、愛がなくとも同情でどうにかしてくれそうだという可能性は浮かぶ。しかし、それが成功する勝算が見込めない状態で、伝えようにも職員の目が隅々にまでいき届いている現状を考えると躊躇を覚える。
今のこの暮らしを終わらせるには、どうしたらいいのか?
「連絡を取り合うしかないでしょうね。孫と一緒に暮らしたいとか、死ぬ時は家でとか、色々と問題のない理由をつけて……家族と話し合うしかないわ」
ゼンさんは自分やカワさん、ミトさんを顎で指し示した。けれど自分たちには引き取ってくれる家族がいないのも事実で、次に繋げる言葉も見つからず口を閉じる。
ひどい施設なんだと誰かに訴えれば、愛がなくとも同情でどうにかしてくれそうだという可能性は浮かぶ。しかし、それが成功する勝算が見込めない状態で、伝えようにも職員の目が隅々にまでいき届いている現状を考えると躊躇を覚える。
今のこの暮らしを終わらせるには、どうしたらいいのか?
「連絡を取り合うしかないでしょうね。孫と一緒に暮らしたいとか、死ぬ時は家でとか、色々と問題のない理由をつけて……家族と話し合うしかないわ」