「じゃあ、三人で向日葵畑を見に行こう」

 その時、カワさんが強い口調でそう告げた。興奮して座りなおした際、まとわりついた脂肪が上下して揺れた。

 ゼンさんは窓際でその提案について考え、それから顰め面を厳しくした。

「つまり外出するってことか? そんなの出来っこないだろうに」
「いいえ、カワさんの提案はいいと思うわ。私たちは入園者状態がCランクではないし、尚且つ親族の許可をもらって申請を通せば、時間を決めて外出していいという規則項目だってあるのよ」
「じゃあ、ここにいる連中のほとんどはCランクってことか? 俺は外出した連中を見たことがないんだが」
「ええ、多分そうなのかもしれないわね。私も実際に出入りしたという人の話は、聞いたことがないから…………」

 ゼンさんは、しばらく考えた。そもそも、こちらから無断で電話をかけることも禁じられているうえ、手紙も中身までチェックされる始末だ。これはまるで、外に情報をもらしたくないと言わんばかりではないだろうか?