マサヨシの意見は、もっともだと思えた。当遊園地は隅々まで整備が行き届き、建物や敷地も増築している。これだけ広いうえ、各種専門のスタッフを雇っているのだから、客が少ない時はさぞ苦しい経営になるのだろう。

 ゼンさんはそう考え、ぐう、と妙な声を上げてそれ以上は何も言わなかった。

 カワさんは、ミトさんが乗った車椅子をゆっくり押し進めた。先頭を歩くマサヨシは、時々後方にいる三人の老人たちをチラリと確認して、一定の距離を開けつつも歩調を合わせた。

 ゼンさんはカワさんに「替わろうか」と提案したが、カワさんはそれを丁重に断った。ミトさんの車椅子を押す役目が、とても誇らしく、そして気に入っているようでもあった。

 植物コーナーは、遊園地の中央にある噴水から、南方向に位置していた。アトラクションコーナーとは正反対の位置にあり、そこは風が吹くたびに葉音が耳に入った。

 樹木が立ち並ぶ通路を十分ほど進むと、きちんと整頓された花壇の広い空間が四人を出迎えた。定められた花壇には同じ色の花が植えられ、親子連れ、恋人同士、といった客が見渡せる広い敷地内にちらほらといた。