中に入るなり、ミトさんの車椅子を押したカワさんが、正直な感想を述べた。

「小さな遊園地だねぇ」
「大都会の遊園地じゃないんだ、これでも立派なもんだぞ」

 以前住んでいた場所の、こじんまりとした動物園にしか入ったことがないゼンさんは、「くそ、贅沢者が」と愚痴った。

 ここはパンフレットでざっと見る限りでも、端からは端まで徒歩で五十分かかる広さであるのだから、決して小さいとはいえないだろう。

 動物コーナー、アトラクションコーナー、飲食店コーナー、土産品店コーナー、植物コーナーの五ヶ所からなっており、移動用として有料の園内バスも行き来している。

「入場料も取るのに、バスでも金を取るのか」

 ゼンさんがそう口にすると、マサヨシは呆れたような吐息をもらした。

「公園と植物園はコーナーがひとまとめにされていて、アトラクションの方へ入らないのだったらチケットも安いんだよ。そもそも、皆が皆それだけを目当てに来たとしてみろよ、途端に経営が成り立たなくなるんじゃないか?」