向日葵畑を目にしたミトさんとカワさんは、「わぁ」と歓声を上げて楽しそうにしていたが、ここへ車を走らせてきた運転手のマサヨシも無言だった。

 まだ昇りきっていない太陽の光が、立ち並ぶ植物の間から、木漏れ日のような温かい光を覗かせていた。ゆっくりと走る車の窓からは、緑と土の匂いが吹き込んでくる。

 きらきらと光る日差しの中、そよ風にも動じない巨大な向日葵は、驚くほどがっちりとした茎を伸ばして頭上に花を咲かせていた。

「……おい、マサヨシ。こりゃあ確かに向日葵だが、全貌が全く見えないぜ」

 花の頭部分は、車窓の高さを超えるほど高く、土道の両脇をありえないほどに太い茎たちが固めていた。濃い緑の茎には、白い産毛のようなものまで見える。

 下から見上げる巨大な向日葵群は、まるで自分たちが小さくなってしまったような錯覚さえ受けるし、なんだかとても威圧感があった。そよ風が窓から窓を通り抜けて、控えめに振動する車内に、向日葵の葉の囁きが耳に入ってくる。