「遊園地なら、僕も連れて行って欲しかったなぁ」
「俺たちは遊園地で遊ぶわけじゃないんだぞ。向日葵園を訪ねるだけだ」
「ちょっとくらいなら、いいじゃないですか。コーヒーカップとかジェットコースターとか」
「心臓発作を起こすかもしれない人間を、アトラクションに乗せてくれる従業員は、なかなかいないぜ?」
ゼンさんはぶっきらぼうに言って、後部座席の右側に乗り込んだ。すると、スドウが気が抜けそうな表情で弱々しく頭をかいて、こう続けた。
「オバケ屋敷ならイケるんじゃない?」
ぽかんと間の抜けた回答が彼の口から飛び出して、窓を開けていたマサヨシが呆れたように舌打ちし、窓越しにゼンさんが反論するよりも早く車を発進させた。
◆◆◆
車は施設を出るとスピードを落とし、緩やかに山道を下った。車内の冷房は掛けられているが、後部座席のカワさんとゼンさんが座る左右共に、窓は全開だった。
「まぁ、見て。黄色いちょうちょ」
左窓を指したミトさんは、とても楽しそうだった。その左側の方に座っていたカワさんが、顔を桃色に染めながら身体をもじもじさせて「そうだね、黄色い蝶だ」と答える。
「俺たちは遊園地で遊ぶわけじゃないんだぞ。向日葵園を訪ねるだけだ」
「ちょっとくらいなら、いいじゃないですか。コーヒーカップとかジェットコースターとか」
「心臓発作を起こすかもしれない人間を、アトラクションに乗せてくれる従業員は、なかなかいないぜ?」
ゼンさんはぶっきらぼうに言って、後部座席の右側に乗り込んだ。すると、スドウが気が抜けそうな表情で弱々しく頭をかいて、こう続けた。
「オバケ屋敷ならイケるんじゃない?」
ぽかんと間の抜けた回答が彼の口から飛び出して、窓を開けていたマサヨシが呆れたように舌打ちし、窓越しにゼンさんが反論するよりも早く車を発進させた。
◆◆◆
車は施設を出るとスピードを落とし、緩やかに山道を下った。車内の冷房は掛けられているが、後部座席のカワさんとゼンさんが座る左右共に、窓は全開だった。
「まぁ、見て。黄色いちょうちょ」
左窓を指したミトさんは、とても楽しそうだった。その左側の方に座っていたカワさんが、顔を桃色に染めながら身体をもじもじさせて「そうだね、黄色い蝶だ」と答える。


