施設で出会ったミトさんとカワさんのこと。そして、昨晩起こった出来ごとについては、あの時に聞いた医師の話を含めて特に重点的に話した。

『…………その人たちと、随分仲がいいんだね』
「ミトさんとカワさんは同い年でな、俺とは七歳違いだ。七十八歳だった頃の俺よりも断然若いんだぜ?」

 驚くよな、と続けて言ったところで、ゼンさんは我に返って後悔した。必要なことを、必要なだけ伝えることだけが求められている会話であるので、これは無駄話だと気付いた。

 そのあと話を本題に戻し、ゼンさんは「向日葵畑はここの近くにあるのか?」とマサヨシに尋ねた。

『調べる。ネットで検索すれば一発だ。父さんの希望は近い場所、それだけでいいんだね?』
「ああ、近い場所だ。運転する時間は、短い方がいいだろう。お前の時間を多くは取れない」
『……分かった。その方向で調べておく。明日休みを取ったから、父さんたちの外出許可はこっちでやっておく』

 そこで、電話は早々に切れた。