こんな場所にあるのだから普通の店じゃないのでは、とも思えた。しかし、空腹には勝てなくて、ここまできたら突撃してくれるという勇気も起こって店の戸を開けた。
「いらっしゃいませ」
足を踏み入れてすぐ、どこからか若い男の声がした。
店の中は少し小さめで、目の前にあるカウンター席の他は、入口の壁に椅子が五つ並んでいるだけだった。まるで、おでん屋といった屋台のような雰囲気だ。一人の黒いマントを羽織った大柄な男が、中央の席を陣取るように腰掛けている。
カウンターの上の方には、白い紙に手書きで『カツ丼』や『ハンバーク』などありふれたメニュー名があった。種類は豊富で、一般的な家庭料理がほとんどだった。
「おや。人間の、それも大人の方ですか」
またしても声が聞こえたかと思ったら、カウンターの奥から無地の着物衣装をした若い男が姿を現した。
紫かかった灰色の長い髪を、後ろで一つにまとめた色白で長身の男だった。女にも見えるくらい端整な顔立ちをしていて、穏やかに微笑む瞳は濃い灰色だ。
「いらっしゃいませ」
足を踏み入れてすぐ、どこからか若い男の声がした。
店の中は少し小さめで、目の前にあるカウンター席の他は、入口の壁に椅子が五つ並んでいるだけだった。まるで、おでん屋といった屋台のような雰囲気だ。一人の黒いマントを羽織った大柄な男が、中央の席を陣取るように腰掛けている。
カウンターの上の方には、白い紙に手書きで『カツ丼』や『ハンバーク』などありふれたメニュー名があった。種類は豊富で、一般的な家庭料理がほとんどだった。
「おや。人間の、それも大人の方ですか」
またしても声が聞こえたかと思ったら、カウンターの奥から無地の着物衣装をした若い男が姿を現した。
紫かかった灰色の長い髪を、後ろで一つにまとめた色白で長身の男だった。女にも見えるくらい端整な顔立ちをしていて、穏やかに微笑む瞳は濃い灰色だ。