外は先程と変わりなかった。宙を泳ぐ魚達を眺めながら、真っ黒い大きな鴉丸の後ろをついて歩いた。
しばらく真っ直ぐ行ったところで、彼が街灯の細い柱を三回叩いた。
不意に、ワントーン視界が暗くなってくらりとした。目が慣れるまで瞬きを繰り返した日野宮は、住み慣れたアパートの通りにいると気が付いて「あ」と言った。
本当に摩訶不思議な通りだ。そう思いながら礼を言おうと振り返ったところで、ハタと動きを止める。つい直前まで大きな彼がいたはずの位置には、誰も立っていなかった。
「あれ……? もしかして俺だけが出てきてしまったのかな」
あたりをきょろきょろとしたら、随分下の方から鴉丸の声が聞こえてきた。
「どこを見てる。俺はここだ」
そちらに目を向けてみると、大きなカラスが立っていた。話しかけたのは自分だぞと主張するように、鳥らしからぬ様子で右の翼だけを広げて振っている。
「……鴉丸さんて、カラスだったんですねぇ」
しばらく真っ直ぐ行ったところで、彼が街灯の細い柱を三回叩いた。
不意に、ワントーン視界が暗くなってくらりとした。目が慣れるまで瞬きを繰り返した日野宮は、住み慣れたアパートの通りにいると気が付いて「あ」と言った。
本当に摩訶不思議な通りだ。そう思いながら礼を言おうと振り返ったところで、ハタと動きを止める。つい直前まで大きな彼がいたはずの位置には、誰も立っていなかった。
「あれ……? もしかして俺だけが出てきてしまったのかな」
あたりをきょろきょろとしたら、随分下の方から鴉丸の声が聞こえてきた。
「どこを見てる。俺はここだ」
そちらに目を向けてみると、大きなカラスが立っていた。話しかけたのは自分だぞと主張するように、鳥らしからぬ様子で右の翼だけを広げて振っている。
「……鴉丸さんて、カラスだったんですねぇ」