「あの……、これって?」
困惑して尋ねたら、オウミが穏やかな笑みを浮かべてこう言ってきた。
「お酒ですよ、とても美味なお酒なんです。サービスですから、どうぞ」
どうぞと言われても……日野宮は、氷だけしか入っていないグラスに目を落とした。そんな彼の様子に気付いて、鴉丸が声を掛ける。
「人間の目でも、酔えば見えるようになる酒だ。滅多に咲いてくれねぇ『とある気紛れ花』からしか取れない霊酒で、飲めるのはかなり貴重なんだぜ」
だから飲んどけ、そう言われて勧められるままグラスを持ち上げた。
ちょっと揺らしてみても、やっぱり何も入っていないようにしか見えなかった。けれど彼らが『在る』というのなら、今の自分に見えていないだけなのだろう。
二人が見守る中、日野宮はグラスを口に当ててゆっくり傾けた。喉がひやりと潤って、冷たくて甘い味が口に広がり「あ」と思う。
「……すごく、美味しい……」
すうっと胃に染み込むのを感じながら、びっくりして吐息混じりに呟いた。鴉丸が「そうだろ」と自慢げに言い、オウミがふふっと上品に笑う。
困惑して尋ねたら、オウミが穏やかな笑みを浮かべてこう言ってきた。
「お酒ですよ、とても美味なお酒なんです。サービスですから、どうぞ」
どうぞと言われても……日野宮は、氷だけしか入っていないグラスに目を落とした。そんな彼の様子に気付いて、鴉丸が声を掛ける。
「人間の目でも、酔えば見えるようになる酒だ。滅多に咲いてくれねぇ『とある気紛れ花』からしか取れない霊酒で、飲めるのはかなり貴重なんだぜ」
だから飲んどけ、そう言われて勧められるままグラスを持ち上げた。
ちょっと揺らしてみても、やっぱり何も入っていないようにしか見えなかった。けれど彼らが『在る』というのなら、今の自分に見えていないだけなのだろう。
二人が見守る中、日野宮はグラスを口に当ててゆっくり傾けた。喉がひやりと潤って、冷たくて甘い味が口に広がり「あ」と思う。
「……すごく、美味しい……」
すうっと胃に染み込むのを感じながら、びっくりして吐息混じりに呟いた。鴉丸が「そうだろ」と自慢げに言い、オウミがふふっと上品に笑う。