中学の頃にオンラインゲームにはまって以来、今もこうして穂花と一緒に戦っている。ただ、これはゲーム内に限っての話だ。

 穂花とは小学生の頃から一緒だったが、実のところゲームという共通認識を見つけるまで接点はなかった。だから中学二年の時に、ようやく穂花の耳が遠いことを知った。

 【やっばー!死にそうなんだけど!】

 【またかよ。ほら、これ使え】

 現実世界ではまともに話さないのに、銀河系を駆け巡りながら地球外生命体を倒すこのゲーム内でなら、お互い臆すること無くものを言い合えるから不思議だ。

 ダメージを負った穂花に回復アイテムを渡す。

 【さんきゅー!やっぱ楓は頼りになるね】

 【穂花、敵に突っ込みすぎ。少しは自分のHPを考えて動けよ】

 【大丈夫だよ。だって後ろに楓がいてくれるし】

 攻撃に全振りした穂花のステータスは異常なほど尖っている。対して僕は能力を満遍なく割り振っていて、ステータスは綺麗な五角形の形をしている。

 一応穂花とはパートナー協定を結んでいて、どちらか片側が倒されると大幅にポイントが減るから勝手に死なれちゃ困る。

 けれど、いつもあいつは勝手に突撃していくから、僕は後方からサポートに回るのがセオリーになっている。

 一見すると凸凹コンビのように見えるけれど、僕らは意外と相性が良いらしく、調子が良いと世界ランキングに載ることもあった。

 実感が無いけれど、世界ランキングに載ることは相当凄いことらしく、この前聞いたことがあるゲーム雑誌の編集者からインタビューを受けた。もちろん顔出しをしたくはなかったから、僕らはカメラをオフにしたままビデオ通話で受け答えをした。

 雑誌には、あらかじめ決めた二つの決め事についてが重点的に書かれていた。