「雪弥様!」
更に強く宵月の声がした瞬間、頭の中で、カチリと思考が切り替わった。
混乱がピタリと止まる。その瞬間、雪弥は何も考えないまま、反射的に足に力を入れると、踏んだ大理石にヒビを入れる瞬発力で跳躍していた。
数メートル先に着地すると、ゆらりと身体の向きを変えて、開いた大扉の方をロックオンする。前傾姿勢に入ってすぐ、地面を蹴り上げて前に飛び出した。
後ろから、もう一度「雪弥様!」と制止するような叫びが上がった。宵月が追ってくるのを感じながら、雪弥は標的を探して一直線に行動し続けていた。
何故、自分がこうして駆けているのか、よく分からなかった。まるで殺してもいい相手が向こうにいて、自分を待っているような錯覚に囚われて、理性が押し潰される。
そう、『敵』だ。殺してもいい奴が、ソコにイるぞ。
雪弥の開いた瞳孔が、先程の四人の男達を探すわけでもなく、真っ直ぐ玄関を捉えた。黒いカラーコンタクト越しに、殺気立った蒼い二つの光が浮かび上がる。
更に強く宵月の声がした瞬間、頭の中で、カチリと思考が切り替わった。
混乱がピタリと止まる。その瞬間、雪弥は何も考えないまま、反射的に足に力を入れると、踏んだ大理石にヒビを入れる瞬発力で跳躍していた。
数メートル先に着地すると、ゆらりと身体の向きを変えて、開いた大扉の方をロックオンする。前傾姿勢に入ってすぐ、地面を蹴り上げて前に飛び出した。
後ろから、もう一度「雪弥様!」と制止するような叫びが上がった。宵月が追ってくるのを感じながら、雪弥は標的を探して一直線に行動し続けていた。
何故、自分がこうして駆けているのか、よく分からなかった。まるで殺してもいい相手が向こうにいて、自分を待っているような錯覚に囚われて、理性が押し潰される。
そう、『敵』だ。殺してもいい奴が、ソコにイるぞ。
雪弥の開いた瞳孔が、先程の四人の男達を探すわけでもなく、真っ直ぐ玄関を捉えた。黒いカラーコンタクト越しに、殺気立った蒼い二つの光が浮かび上がる。