自分を挟んで唐突に始まった兄弟同士の言い合いを前に、給仕の男が仕事をしていいのか、待った方がいいのかと視線を往復させた。それを見た宵月が、そっと退出を許可して促すと、彼はその様子にチラチラと目を向けながらも、大皿を下げていった。
しばし兄とやりとりしていた雪弥は、新聞をめくる音に気付いて、そちらへ目を向けた。そこには座っている桃宮がいて、ぼんやりとした様子で新聞を眺め続けている。
先程と同じく、やはり文字を読み込んでいる気配はなく、どこか物想いに耽るようにして周りの声も聞こえていないみたいだった。疲れきったような目元の皺は、今日で一気に増えたような気がする。
「桃宮様。こちらまでは長旅だったようですから、お疲れではございませんか?」
兄弟らしい言い合いが終了したのを確認したところで、宵月が不自然ではない切り出しで声を掛けた。問われた桃宮が、我に返ったように顔を上げて、取り繕うようなぎこちない笑みを浮かべた。
しばし兄とやりとりしていた雪弥は、新聞をめくる音に気付いて、そちらへ目を向けた。そこには座っている桃宮がいて、ぼんやりとした様子で新聞を眺め続けている。
先程と同じく、やはり文字を読み込んでいる気配はなく、どこか物想いに耽るようにして周りの声も聞こえていないみたいだった。疲れきったような目元の皺は、今日で一気に増えたような気がする。
「桃宮様。こちらまでは長旅だったようですから、お疲れではございませんか?」
兄弟らしい言い合いが終了したのを確認したところで、宵月が不自然ではない切り出しで声を掛けた。問われた桃宮が、我に返ったように顔を上げて、取り繕うようなぎこちない笑みを浮かべた。