『大丈夫だと判断されるまでは逐一報告されるんだろうな、と思ってな……』
「報告?」
『まぁ、アレだ。王都ってのは人の目も多いから、その行動を見られていると意識してる連中も多いだろうし、自分の評判を落としたくなかったら露骨に門前払いもしねぇだろ』

 そう言って、彼は話をはぐらかした。

 明日の出発は早いので、夜に出歩くつもりはない。ひとまずは宿の部屋で食べるための食料を買う目標を立てて、ラビはノエルと共に歩き続けた。目に留まった何軒目かのパン屋の前で足を止めて、じっくり店内の様子を窺ってみた。

「……なんだか高級店っぽいね」
『次、行くか?』

 その時、ガラス張りの店内から、こちらを振り返った身綺麗な正装姿の男と目が合った。パチリと瞬きする瞳は、綺麗な空色をしていた。連れらしい同じ紳士風の二人の男も、金のステッキを持っている。

 キレイな空色の瞳をした彼のきょとんとした表情が、苦手なものを見るように変わるのを見たくない気がして、ラビは帽子を深くかぶり直した。ノエルに「行こう」と促して、歩みを再開する。