それを聞いた三人兄弟の盗賊達が、「勿論だとも!」と元気いっぱいに挙手して答える様子を、ラビはなんだかなぁと思いながら見つめていた。そうしたら、指先で肩を叩かれた。

 振り返ると、そこにはサーバルがいた。騒動の際に落としていた帽子を、見付けて拾い上げてくれていたらしい。彼が「どうぞ」と労うような笑顔で差し出してきたので、ひとまずは「ありがとう」と礼を言って受け取った。

 そういえば、あの盗賊達は、これといって金髪金目に反応してないな。

 今更のように気付いて、ラビは不思議に思いながらも帽子を頭に被り直した。そうしたら、こっちを見たベックが「帽子、あったんか」と、なんだか拍子抜けするくらい親切な声を、普通に掛けてきたのだった。
 

 それから、全員で遺跡を出て、しばらく一緒に森の中を歩いた。

 先程手助けしてくれた鳥達の姿は、どこにもなかった。森は来た時と同じように静まり返っており、風が木々の葉を揺らす音しか聞こえてこない。