後ろの一同の反応を背中で察知し、ユリシスが上司以外のメンバーを、冷やかに無言で見やった。ラビは、自分でやっておきながら露骨に殺気を向けてくるなよ……と思った。

「――獣師である『彼』は、先日、第三騎士団の専属獣師として大抜擢されました。しかし、その相棒である狼が、別件の古代遺跡の調査にて呪いを受けてしまい、姿が見えなくなってしまっていたのです」

 ユリシスは、自身にベック達の視線が戻ってすぐ、さりげなく表情と視線を戻して、彼らへの説明と説得を再開した。

「そこで、不思議な術を使っていた『謎の古代人』が、『砂の亡霊に守らせている呪いを解くアイテム』があると聞き、私達はココを訪れたわけです。つまり、ここに財宝などはありません」

 ちゃっかり、この遺跡には金目の物は一切眠っていない事も、ついでのように告げる。

 こんな話を信じる人はいないだろう。ラビはそう思ったのだが、ベック達の反応を見て、真剣に考えて悩むのが馬鹿らしくなってきた。彼らは全く疑っていないどころか、納得してスッキリしたようなイイ表情を浮かべていたのだ。