刃に掛かる重さは、実物の蛇のようであるのに、刃先であっさりと弾けてしまうのが不思議だった。あまりにも数が多すぎるせいで、斬るというよりは、手あたり次第叩き返すような剣術戦法にすぐ切り替えた。

 隊列の中央で、サーバルと組んだユリシスが、同じように一度に数匹の蛇を吹き飛ばした。後方で、テトとジンが左右に別れて援護に入り、最後尾についたベック達が、開いた道を後ろから詰めて飛びかかってくる蛇を、狙っても当たらないサーベルを必死に振り回して払っていた。

 ラビはノエルと共に、セドリック達が剣を振るって半ば道を確保する中、大蛇に向けて走った。目標まで残り数メートルという距離で、ノエルが鮮やかな赤色の獣目でロックオンする。

『封印されている術具が見えたッ、奴の腹の中に保護されている空間がある。そのまま口の中に飛び込むぞ!』
「了解! まずは一発目を確実に決めて、少しでもあいつの口を開けさせればいいわけだね!」