「ラビには才能があるよ。獣師として適切な判断をして、だから遠くからも顧客が集まる。それに腕っぷしも体力も騎士並みにある獣師は、まずほとんどいない。そこも高く評価されている」
「待って待って。戦闘力まで獣師として評価されるとか、おかしくない!?」

 びっくりして思わず大きな声を上げると、すぐに「別におかしくはないよ?」と言い返された。

「軍部としては動ける若さに加えて、自分達についてこられるタフな獣師なら、尚良いと考えているからね。書類を作ってみたら、案の定その日で申請まで通ってしまったよ」

 にっこりと美しい笑顔を向けてくる幼馴染を見て、ラビはぎこちなく引き攣った愛想笑いを返した。対害獣法令の件については撤回しないし、反論があるならあらゆる正論を説いてみせよう、と有無を言わせない自信あふれる圧力を前に言葉も出て来ない。

 ルーファスの説明から、今回の件の真相を察してもいた。だから、どうにかなかった事に出来ないか、という交渉を彼に持ちかけるのも無理だと悟ったのだ。