現在、ここで複数の術が発動持続中なのも、膨大なエネルギーを持った術具が本体となって、魔力が途切れる事なく供給され続けているせいだ。

 トーリは、少し考えたら分かる事だろ、とノエルをジロリと怪訝に見やる。

『その術具は、有幻影のモデルになった妖獣の姿形を、忠実に再現した『バカデカいやつ』が守っているから、触る事も出来ねぇよ。小さい蛇に続いてやってくる、侵入者を撃退する『そいつ』の中に、あんたらが欲しがっている『宝』の術具があるんだぜ? 大量の蛇を相手にしながら、その術具をどうにかするってのは無理だろ』

 その回答を聞いて、ノエルが思わずといった様子で口をつぐんだ。ラビもようやく、本格的に排除にかかりにくるモノの正体を察した。

 突然現われる大量の蛇は、とある妖獣をイメージして作られているという。同じ妖獣がモデルという事は、術具本体を守っているという『バカデカいやつ』は、巨大な蛇の姿をしているのだと想像出来た。