落下は長い間続いた。頭上の穴の光も見えなくなった頃、ノエルの背に乗ったラビは、ふわりと穴の底に着地した。

 そこは、岩肌がごつごつとした薄暗い場所だった。少し肌寒さがあって、空気はしっとりと湿っている。掘られただけの地下通路のようで、辺りは岩に囲まれていて狭く、光の差しこむようなところは何処にもないのに、不思議と視界は真っ暗ではなかった。

「ここ、一体どこだろう?」

 彼の背から降りたラビは、頭上を見上げてそう呟いた。自分の声が鈍く響き渡って消えていく様子と、落ちてきた穴の入口の光さえ見えない事から、随分深い場所まで来たらしいと察した。

 落下している間に足元の小さな振動は止まっていて、耳を澄ましても、一階に残してきたセドリック達の声は聞こえてこなかった。地上の方がどうなっているのか気掛かりだったが、地震のような揺れがやんでくれているのは安心出来た。

 するとノエルが、掘られただけのような手狭な地下通路内を見回して、口を開いた。