「セドは何階の部屋になるんだろう……。階段の段差はそんなになさそうだけど、無事に入るまでは見届けた方がいいかもしれないね」
『そうなるだろうな。つか、俺らの部屋は何階だ?』
「鍵には、五〇四って書かれていたよ」

 その時、立ち上がったセドリックがこちらを振り返った。目が合った途端、にっこりと馴染みのある愛想のいい笑顔を向けられて、ラビもつられて疑問形に愛想笑いを返していた。

「そうですね、夜も遅い。それじゃあ寝ましょうか、ラビ」

 言いながら当たり前のように手を取られて、ラビは「ん?」と疑問の声を上げた。大きな手は体温が高くて、しっかり握り締められてガッチリ外れなくなる。

 台詞から連想される可能性を浮かべたノエルが、心底呆れたように『つまり素面に見えても、半分寝てもいるってわけか……』と困ったように呟く。そんな中、ラビはにこにことする幼馴染を、困惑げに見上げた。

「セド、この手は一体な――」
「ほら、ラビィ、おいで。寂しい思いをさせて、すみませんでした」