とはいえ、今は調査任務に向かう道中だ。明日も早い出発だというのに、セドリックが嗜み以上の量の酒を飲むというのは、あまりイメージがなかった。

 ラビの中で、彼は未成年時代の印象の方が強く残っているため、お酒を飲むというのも馴染みがない状況だった。しかもワインではなく、庶民に親しまれているビールを、彼がジョッキで思いきり飲むという姿を想像するのも難しい。

『ジョッキの二、三杯で酔い潰れたってんなら相当弱いな』
「それでも結構多い気がするけど……」
『大抵ビールってのは、三杯くらいは軽く飲めるようなアルコール飲料だぜ』

 ラビがノエルと話していると、ヴァンが「ワンコ、何か言ってんのか?」と尋ねてきた。

「うーんと、ノエルが、二、三杯なら酒に弱いなって」
「正確に言うと、一杯と半分だな」

 なんだそんな事か、という顔でヴァンが即答した。

 それを聞いたノエルが、間髪入れず『クッソ弱ぇな! なんでこのタイミングで飲んだんだ?』と叫んだ。ラビも、それには同感だと思った。