切れるとセドリックが一番怖い、というヴァンの主張を完全に聞き流す姿勢を察知し、ノエルは『ルーファスの弟だし、可能性はあると思うんだがなぁ……』と呟いた。しかし、ラビはその呟きを聞く前に発言していた。
「説教はするけど、セドリックはそう簡単にプツリと切れたりしないよ。というか、日頃のあれやこれやって、お前普段ちゃんと仕事してんのか?」
本人に向かって失礼極まりない疑問をストレートに尋ねたラビは、そこでようやく、ヴァンが語った現状について遅れて一つの事を理解した。
「――って、ちょっと待った。強く酔ってるって? 誰が?」
「うちの副団長」
「そんなに飲んだの? あのセドリックが?」
「ビールをジョッキでお代わりだ」
貴族がワインなどの酒を嗜むというのは、幼い頃からヒューガノーズ伯爵家と交流があったから知っている。一時期世話になっていた際の夕飯時にも出ていたし、セドリック達の父親であるヒューガノーズ伯爵は、昼食の際にも地元産のワインを少し口にしたりするのも珍しくなかった。
「説教はするけど、セドリックはそう簡単にプツリと切れたりしないよ。というか、日頃のあれやこれやって、お前普段ちゃんと仕事してんのか?」
本人に向かって失礼極まりない疑問をストレートに尋ねたラビは、そこでようやく、ヴァンが語った現状について遅れて一つの事を理解した。
「――って、ちょっと待った。強く酔ってるって? 誰が?」
「うちの副団長」
「そんなに飲んだの? あのセドリックが?」
「ビールをジョッキでお代わりだ」
貴族がワインなどの酒を嗜むというのは、幼い頃からヒューガノーズ伯爵家と交流があったから知っている。一時期世話になっていた際の夕飯時にも出ていたし、セドリック達の父親であるヒューガノーズ伯爵は、昼食の際にも地元産のワインを少し口にしたりするのも珍しくなかった。