『生まれる子供は、強い妖獣と全く同じ種族で誕生する。簡単にいえば、結婚してしばらくは、たった一人という種族が二人になるわけだ。違っている事は、親となったそいつが他界しない限り、子は完全な成獣になる事はないってところだな』
「ふうん? つまり、その太陽みたいなモノも実は超大きな妖獣みたいなもので、けど子供が出来ても、太陽は空に一つだけ……?」
『その解釈でだいたい合ってるぜ』

 ラビがなんとなく理解した様子を確認して、ノエルは立ち上がった。前足をぐっと前に伸ばし、座りっぱなしだった身体を解す。

『ここまで来たついでだ、俺らも少し情報収集でもするか。人間相手は次男ぼ――……セドリック達に任せて、こっちは動物に話を聞こう』

 彼らを名前で呼ぶ習慣はなかったから、ノエルは『慣れないなぁ』と呟いた。

 ラビも続いて立ち上がり、尻の砂埃を払い落して彼を見やった。

「戻るにはまだ早い時間だろうし、それがいいね。近くに他の動物がいるの?」
『町のすぐ外に犬と、羽を休めている鳥の群れの気配がある』